コロナ禍で威力を見せた「ビジネスマッチング」 輸入途絶えた医療用ガウン生産を短期間で構築

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医療用ガウンプロジェクトを短期間で立ち上げた前田佳宏・リンカーズ社長(撮影:梅谷秀司)

実際、企業集めは驚くほど早かった。

「医療用ガウンの国内生産が可能な企業を募集します。サイズなどの加工内容、保管条件は以下の通り……」。4月中旬、「リンカーズソーシング」の仕組みを用いて参加を希望する企業を募ったところ、「わずか3日間で100社を超え、1週間で約200社が集まった」(前田社長)。パートナーを務めたレスターHDの今野剛実・事業開発室室長は「通常のやり方でこれだけ多くの企業を短時間で集めることは不可能」と舌を巻いた。

生産面や資金面での取りまとめ役を担ったレスターHDにとって縫製加工ビジネスは初めての取り組みだったが、今野氏を含む事業開発室の4人のメンバーが作業に従事する。

ボンマックスが束ねている縫製工場は全国約70カ所にのぼり、その約半数がリンカーズから紹介を受けたものだ。「地銀や商工会議所などに所属する、地場の企業に詳しいコンサルタントの眼鏡にかなった企業ばかりだったので、ものづくりの質はしっかりしていた」(外川社長)。

ボンマックスでは同プロジェクトへの参画に際して新たに「アイソレーションガウン対策本部」(現在は「コロナ対策本部」に改組)を発足。約10人の専門の担当者がレスターHDや協力工場とのやり取りに従事する。

製造業の国内回帰を支援

医療用ガウンプロジェクトを成功させた経験を元に、リンカーズでは新たな取り組みを進めている。

現在、同社では、大手企業のニーズを元に、独自の技術を保有する中小企業を探すことを目的とした「リンカーズソーシング」のほかに、中小企業の商材を大手企業に紹介する「リンカーズマーケティング」、地銀や信用金庫など金融機関のビジネスマッチングを支援する「リンカーズフォーバンク」が稼働している。

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このうちリンカーズフォーバンクについては北陸銀行や群馬銀行など、すでに15の金融機関がサービスを利用している。

また、6月にはウェブ上での展示会サービス「テックメッセ」のベータ版をオープンさせた。システム構築を工夫することにより、従来のウェブ展示会では難しかった「求める技術の要件があいまいであっても、ふさわしい企業を見つけることができる検索サービス」(小林裕CMO)を目指す。

リンカーズではこれらのシステムを相互に連携させることで、ビジネスマッチングの成約率を高めようとしている。

「コロナ禍が続き、国内の製造企業は既存の取引先からの受注が激減している。生き残りには、新たな分野の取引先を開拓する必要がある。その一方で従来のような面談による営業は難しくなっている」(前田社長)。こうした状況においては、ウェブシステムの質が成否を左右する。

京セラ出身で、独自のマッチングビジネスを立ち上げた前田社長が目指すのは、「製造業の国内回帰」だ。「ビジネスマッチングを通じて次の時代を担う有力企業1000社を組織したい」。前田社長が描く構想は壮大だ。

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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