新型コロナウィルスの感染拡大とともに、医療や介護職場でのマスクやアルコール消毒液の不足が一段と深刻になっている。感染拡大防止対策の一環として、政府は3月初旬に通称「マスクチーム」を編成して増産態勢の確立や医療機関や介護事業所などへの配布に努めているが、医療・介護従事者からは「確保は厳しくなるばかり。すでに業務に支障が出始めている」といった声が相次いでいる。
「厚生労働省から布製マスクが郵送されてきたが、職員1人に1枚が行き渡る程度。(一般的に使われている)不織布マスクも足りておらず、洗って使っている状態。感染への不安から職員のストレスもたまっている」(埼玉県内の訪問介護事業所の管理担当者)。
マスクの寄付に応募が殺到
患者と接する訪問看護の現場も深刻だ。「マスクやアルコール消毒液、感染防護用のガウン、ガーゼは、調達が難しい状態。備蓄も底を尽きかけている」。千葉県柏市内の訪問看護ステーションひまわりで管理者を務める大熊智子氏は、「利用者の中には人工呼吸器を装着していたり、胃ろうのチューブが身体に入っている人もいる。マスクや消毒液の不足が原因で、万が一、職員のうちから感染者が出た場合、そうした医療的ケアを必要としている利用者への看護も困難になりかねない」と危惧する。
医療・介護・保育事業者向けにクラウドサービスを提供しているカナミックネットワーク(東京・渋谷区)が、世界最大規模の子育てアプリ・子育て動画配信サイトを運営する中国企業のBabybusと連携して中国製マスク35万枚を調達したうえで医療・介護・福祉事業者向けに寄付するプロジェクトを4月3日に発表したところ、応募が殺到。締め切り日として当初設定していた4月15日より10日前倒しで募集を打ち切らざるを得なくなった。同社の山本拓真社長によれば、「申し込み件数は3500件を上回った。応募事業者は北海道から沖縄県まで全国に広がっている」という。
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