ノーベル経済学賞候補が、いま考えていること 世界的第一人者ブランシャールのマクロ経済学
知的職人気質のフランス人
ブランシャールは神経科医の父と精神科医の母を両親に持つフランス人だ。幼少時は賢いものの、勉強が必ずしも好きではない子どもだったという。
パリ・ナンテール大学に進学したが、1968年に学生暴動が起きて大学が閉鎖され、パリの街中で激しい戦いが繰り広げられる。知的な刺激と同時に、そのイデオロギー的な争いに次第に嫌気がさしてきたブランシャールは、長い入院の際に経済学の本を読みあさり、経済学が世界をよりよく変える可能性を深く考えるようになる(Steven Pearlstein, “The smartest economist you’ve never heard of,” The Washington Post、October 3, 2015を参照)。
しかし、彼の目には、フランスの大学の経済学カリキュラムは抽象的すぎるうえに、イデオロギー的すぎるとも映っていた。修士論文を書き終えて、ブランシャールはアメリカに留学することにする。
ブランシャールはマサチューセッツ工科大学(MIT)に留学することが決まった。MITの経済学部は1960~70年代にポール・サミュエルソンを擁し、米国一の地位にのし上がった、最も勢いのある「アメリカ経済学の中心地」だった。
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