中学受験「男子7人に1人全滅」時代に臨む気構え 2020年中学受験「全入崩壊」に見えた変化の兆候
日比谷・西・国立など都立進学指導重点校7校の難関国立大学等合格率が8.1%ですから、併設型中高一貫校の内進生は、躍進目覚ましい都立進学指導重点校とも互角の進学実績を出していることがわかります。
違いは学業だけではありません。各種大会・コンクールの実績においても、文化・スポーツの両面で内進生の実績が高く、「内進生については、高校受験のないゆとりを生かして、趣味や部活動など、自分の興味や関心があることに取り組めていることが結果に結びついているものと考えられる」とまとめているのです。
思春期と呼ばれる多感な時期に高校受験がないことで、学業だけでなく、それぞれの個性を引き出すという恩恵が受けられることが証明された形です。まあ、このデータがすべてだとは思っていませんけれど。
目先の偏差値か、中学に入ってからの伸びか?
だからこそ、さきほど言ったように、何が何でも最難関校に合格しなきゃ意味がないみたいに思う必要はないと思うんです。むしろせっかくの中学受験勉強がただの苦行になってしまうのはすごくもったいないと思うんですよね。
そこで、安浪さんに聞いてみたかったのは、効率よくパターン学習をした子が得点をしやすく合格しやすいという事実があるけども、パターン学習は「無味乾燥な詰め込み」になりやすいし、長い目で見たら子どものためにならない。このバランスをどうとったらいいのでしょう?
安浪:入試に必要な学習内容と、入試までの持ち時間が決まってますからね。向いていない子は、どうしても「無味乾燥な詰め込み」になってしまう。
おおた:それはよくわかります。
安浪:私が主催しているセミナーでは、6年生の夏休み前は「基礎理解が大事」「丸暗記は意味がない」という話をさんざんしています。ところが、入試直前期の11月のセミナーになると、言うことを変えます。入試で典型題しか出ない中堅校、標準校を目指すご家庭には「もう丸暗記しちゃってください!」と言うんです。「ここから詰め込み解禁です!」と。でも、やっぱりジレンマはあって……。
私は常々、入試問題を出す学校側が中学受験の算数を通して何を身につけさせたいかをちゃんと持っておくべき、と考えています。たとえば、「場合の数」の勉強をするとき「何通り」という正解を出す能力のある子がほしいのか、もれなく自分の手で数を書き出せる能力のある子がほしいのか。その目的によって、学校側の出題が変わってくるべきだと思うんです。