中学受験「男子7人に1人全滅」時代に臨む気構え 2020年中学受験「全入崩壊」に見えた変化の兆候

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おおたとしまさ氏(左)と安浪京子氏 (c) 佐藤克秋

ただし、男女別に分けると、見える風景がちがいます。2020年の男子総合格率は86.3%、約7人に1人はどこにも合格できないという非常に厳しいものでした。男子の親御さんはこのことを肝に銘じ、志望校選びでは慎重を期すべきです。

安浪:そうなんです。中学受験に対するご家庭の男女差はいまだにあって、男の子と女の子がいるご家庭でも「男子なら中学受験で最難関。女子は無理しなくてもいい」と。昔の「男子は4年制大学、女子は短大か専門学校」という価値観とかぶりますね。また、ガツガツ勉強しなくても入れる女子校はたくさんあるので「女の子には苦労させずのびのびしてほしいから中学受験」というおうちも多い。

おおた:むしろ男の子もそれでいいと僕は思いますけどね。いい大学に入りたいだけだったら、そもそも学校なんか行かずに、中学生のうちから東大受験専門塾に通って徹底的に鍛えるのがいちばん強いんですよ。6年間それだけの生活に耐えられればですけれど(笑)。

つまり、偏差値の高い学校に無理矢理でもツッコめば東大への道が拓けるとか、逆にそこに行けなかったらわが子の人生が終わっちゃうとか、そんなふうに中学受験する意味を矮小化しないでほしいということです。

内進生と外進生で進学実績に明確な差

興味深いデータがあるんです。10校ある都立中高一貫校のうち「併設型」と呼ばれる5校は中学からも高校からも生徒を募集していますが、東京都教育委員会の都立中高一貫教育校検証委員会の報告によると、都立中高一貫校における中学からの入学者(内進生)と高校からの入学者(外進生)の進学実績を比べると、内進生のほうが圧倒的に良かったことがわかっているのです。

併設型の中高一貫校では、内進生であっても極端な先取り教育は行えません。外進生との足並みをそろえなければいけないからです。それでも難関国立大学等(東大・一橋・東工大・京大・国公立大学医学部)の合格率を計算すると、内進生は7.6%、外進生は0.8%と大きな開きがありました。

都立中高一貫教育校検証委員会報告書(平成30年4月)より
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