中学受験「男子7人に1人全滅」時代に臨む気構え 2020年中学受験「全入崩壊」に見えた変化の兆候

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後者の、「もれなく自分の手で書き出す」能力を求めるのであれば、あらゆるレベルの子が対応できます。でも、今の出題傾向や大手塾のカリキュラムでは、勉強が苦手な子には厳しい。そういう子は効率よくパターン学習をしないと模試で点を取れないし、受からないシステムになっているんです。

おおた としまさ/育児・教育ジャーナリスト 「子どもが“パパ〜!”っていつでも抱きついてくれる期間なんてほんの数年。今、子どもと一緒にいられなかったら一生後悔する」と株式会社リクルートを脱サラ。育児・教育をテーマに執筆・講演活動を行う。著書は『名門校とは何か?』『ルポ 塾歴社会』など60冊以上。 (c) 佐藤克秋

おおた:僕は学校や教育の理想を書いていますけど、とはいえ、勉強する側はきれいごとだけじゃすまされない。安浪さんがジレンマを感じながら子どもと向き合っていること、よくわかります。

安浪:私は家庭教師としていろんなお子さんと接していますが、親が目先の1点2点ではなく、本当の力を身につけてほしい、というスタンスのおうちは指導しやすいですよ。そういう子は本当に伸びていくので。

おおた:ああ、それこそ小学校では伸びなかったとしても、中学校に入ってから伸びていく?

安浪:伸びますね。模試ですぐに点が取れるわけじゃないけれど、本人が根を張っているのがわかる。入試の時点で結果がどうこうではなく、受かる子もいれば落ちる子もいるけれど、その後がぜんぜんちがう。

能力の高さと入試で点を取ることは別スキル

おおた:そういう家庭は受験に対するスタンスもちがうのでしょうか?

安浪:はい、そういう家庭は、「何が何でもこの学校!」という偏差値至上主義ではなく、子どもを第一に考えていますね。もちろん合格できればとは思っているけれど、「最終的に収まるところに収まればいい」と大きくかまえています。そう思えていない家は、詰め込む!

『中学受験の親たちへ~子どもの「最高」を引き出すルール』(大和書房)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

ポテンシャルが高くて能力があるなという子は、授業をしていると、返してくる考え方とか発言の内容がちがうんです。でも入試問題になると、計算ミスだったり、6を8と転記ミスして×になって不合格になる。ナンセンスだけど、入試とはそういうものなんです。能力が高いことと入試で点を取ることは別スキル。でも受験では、後者のスキルを磨かないと受からないよ、という話ですね。

おおた:それで言うと、目先の中学受験に最適化させるためにそのポテンシャルを潰してしまうのはその子の人生にとって大きな損だと僕は思うんですよね。ポテンシャルを潰さないように、合格力をどこまで引き上げられるかのさじ加減は中学受験の永遠のテーマですね。伸ばしきれなかったものはあとからでも伸ばせるけれど、一度潰してしまったものを取り返すのは大変ですからね。

おおたとしまさ 教育ジャーナリスト

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Toshimasa Ota

「子どもが“パパ〜!”っていつでも抱きついてくれる期間なんてほんの数年。今、子どもと一緒にいられなかったら一生後悔する」と株式会社リクルートを脱サラ。育児・教育をテーマに執筆・講演活動を行う。著書は『名門校とは何か?』『ルポ 塾歴社会』など80冊以上。著書一覧はこちら

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安浪 京子 算数教育家、中学受験専門カウンセラー

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やすなみ きょうこ / Kyoko Yasunami

株式会社アートオブエデュケーション代表取締役。神戸大学発達科学部卒業。関西、関東の中学受験専門の大手進学塾で約10年、プロ家庭教師として約20年算数を教える。算数や受験に関わるイベントやセミナーの開催をはじめ、中学受験のあらゆる相談に答えるオンライン『中学受験カフェ』主宰。その熱血指導と、きめ細かいメンタルフォローが多くの親子に支持されている。『AERA with Kids』での中学受験に関する連載も好評。著書多数。

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