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日経平均がここからスローにしか上がらない訳 「ひとりきりではダンスはうまく踊れない」!?

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  • 馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト
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まず、足元の日米の株価の上振れが、多くの場況で解説されているように、「ワクチン開発への期待一本鎗」の「黒田節的状態」では、危ういと考えられることだ。「本当に新ワクチンの効果があるのか」「副作用は深刻ではないのか」といった点はまだ不透明だ。

もちろん優れたワクチンであるという可能性も否定はできない(大いに期待はしている)ものの、現時点でワクチンによる経済活動の全面的な再開を前提にして、黒田節のように「株は買え買え」と唱えられても、そう簡単に株価上昇シナリオの美酒に酔ってよいのかは、警戒を要する。

いったん「物色のダンス」は済んだ可能性

また、日米等の株価の物色をみると、長らく市場を牽引してきた、IT・半導体などのグロース(成長株)セクターに、時折踊り疲れが生じる展開がみられる。

こうしたセクターは、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を無理して持ち出さなくても、元々長期成長産業であり、これにコロナ禍による「巣ごもり効果」(動画配信などの娯楽やネット通販、リモートワークの普及など)の期待が乗って、買い材料が豊富だ。だがPER(株価収益率)の高さやこれまでの株価上昇ピッチに対する高値警戒感もあって、一段と当該セクターを買い上げることに、ためらいが生じてきているのかもしれない。

これまでは、グロース株が反落すれば、バリュー株(割安株)が代わりに物色され、株式市況全般は大きくは崩れなかった。日本株では、PBR(株価純資産倍率)などで見て割安で、加えてコロナ禍で敬遠されていたような鉱業、鉄鋼、非鉄金属、空運、海運などの株価が戻る局面もみられた。こうしたバリュー株の戻りには、前述の主要国の景気持ち直しも、株価支持要因として働いたと推察される。

だが、これも前述した通り、今後の景気回復は、リベンジ消費の一巡などで、一本調子ではないかもしれない。これまでは「グロースとバリューの2本立て」の間で、リズムよく物色のダンスが回ってきた。しかし、グロースへの買いが行き詰ったタイミングで、バリュー株への物色が経済指標の一服などで抑制されれば、「物色のダンスが済んだ」という展開に、市場全体が(短期的だとは思うが)陥ってしまう、という事態が懸念される。

何か一つのセクターへの物色だけで、市場全体を引っ張り上げ続けることは、難しいと考える。やはり井上陽水氏の名曲のように「ひとりきりではダンスはうまく踊れない」のかもしれない。

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