本当に「法人税減税」はできるのか 改革の論点が、いよいよ出そろった

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ここで、大胆だが、現在俎上に載っているものを列挙し、その成否について、「GW時点」での下馬評的私見を記そう(今後の情勢いかんでは、その評価は変わりうるし、最終的な成否と異なっても「下馬評」なのでご容赦いただきたい)。凡例は…:実現可能性高、:五分五分、:実現可能性低、×:ほぼありえない、とする)

欠損金の繰越控除での控除割合縮小と繰越期間延長(現在:繰越期間9年、控除割合は大企業のみ80%)

(解説)→繰越期間の延長で、繰越欠損金の控除の使い残しがなくなる点は企業に利点。控除割合縮小で、税率がそのままなら短期では増税になるが、その分が代替財源にカウントしてもらえる可能性が高く、それで税率が引き下げられる。景気回復局面で繰越欠損金が減っており反対する企業も少ない。経済界も大筋同意か?

受取配当の益金不算入割合の引き下げ(現在:持株割合25%以上の株式に係る配当は100%、持株割合25%未満の配当は50%が益金不算入)

(解説)→益金不算入割合を下げると、法人税の課税ベースが大きくなる。税務当局は、持株割合が5%未満だと不算入割合がゼロであるフランスの制度も参考に、引下げを提案。株式保有が支配関係でなく資産運用を目的とする場合に益金不算入としない(益金に算入し法人税を課税)を意図しているが、運用目的で株式を保有する金融機関は増税となるため強く反対。他方、持ち株比率5~25%で益金不算入割合を引き上げるという要望が出ると、痛み分けとなり、最終的には現状維持かも。

×租税特別措置の大幅見直し(現在:研究開発減税、中小企業の軽減税率引下げ等)

(解説)→研究開発減税の恩恵を受ける企業は、厳しい国際競争にさらされている。法人税率が下がってもこの租税特別措置(租特)がなくなると増税になる可能性があり、元来の目的であった成長戦略とも矛盾。中小企業は、本則で大企業の税率25.5%より低い軽減税率19%となっているが、租特でさらに15%まで下げている。これを撤廃すると税率が上がることを意味し、元来の目的と矛盾。租特でない形で税率を事実上据え置くなら、代替財源にはならない。租特を見直すとしても、小幅か。

減価償却方法を定率法から定額法へ変更(現在、機械装置について定率法と定額法の選択)

(解説)→償却可能限度額までいずれ償却するなら、最終的に法人税額への影響は同じだが、定率法を適用すると、早期に多く減価償却できる分、短期で法人税が軽減される効果がある。これを定額法にすると、短期では減価償却費が減るので、税率がそのままなら短期では増税になるが、その分が代替財源にカウントしてもらえる可能性が高い。

次ページ最後は法人税の課税ベースを拡大できるかが、カギ
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