「部活クラスター」と大騒ぎの人々に映る深い闇 誰が感染してもおかしくないのに責めてどうする

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不安や恐れは誰しもに出てきていますが、そのネガティブな感情を誰かにぶつけていいというわけではありません(写真:Fast&Slow/PIXTA)

“部活クラスター”という言葉を見たり聞いたりしたことがあるでしょうか? このところ複数のメディアが報じるようになったフレーズであり、学生の部活動で新型コロナウイルスの集団感染が発生したことを指すものです。

メディアがクラスターの発生を報じることは重要であり、リスクの大きさを伝え、感染予防につながるなどの効果は期待できるでしょう。しかし、“部活クラスター”というトピックスになりやすいキャッチーなフレーズを好んで使うメディアと、それを見て当事者に批判の声をあげる人々に危うさを感じてしまうのです。

とりわけ“部活クラスター”というフレーズが飛び交っているのは、島根県松江市の立正大淞南高校で発生した集団感染。ここまでサッカー部の90人をはじめ、教職員などの関係者も併せて103人もの感染が発表されました。確かに山陰地方に限らず、全国的に見ても大規模なクラスターと言えるでしょう。

批判を超えた誹謗中傷が飛び交う

その報道を過熱させたのは、同校サッカー部が全国高校サッカー選手権に18回、インターハイに13回出場し、どちらもベスト4の実績を持つ全国的に有名な強豪校であること。実際、「スポーツ強豪校の問題点に迫る」というニュアンスで報じるメディアやSNSのコメントも少なくありませんでした。

同校サッカー部は、ほとんどの部員が寮生活をしていて、2人1部屋が割り当てられているほか、食堂や風呂などを共有。さらに7月下旬から8月上旬にかけて、大阪、鳥取、香川に遠征していたこともあって、どこでどのように感染したのか、その経路はほぼわからないようです。

これに「対応の遅い学校が加害者」「生徒たちも自覚がなさすぎる」「大迷惑でしかなない」「この高校は非難されて当然」などの批判が殺到。遠征を繰り返したことへの批判はまだしも、寮生活をしていることにすら厳しい言葉をぶつける姿勢に驚かされます。

また、県大会で準優勝した同校野球部をサッカー部などの他の生徒が出迎えている写真が、その批判を過熱させました。多くの生徒たちがマスクなしで道を取り囲むように並んでいる様子を見て、「やっぱりこの高校は最悪」「自業自得すぎて笑うしかない」。さらには、犯人探しをするように個人を非難したり、同校の偏差値を揶揄したり、真偽不明の噂話を書き込んだりなど、明らかな誹謗中傷が相次いでいるのです。

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