「部活クラスター」と大騒ぎの人々に映る深い闇

誰が感染してもおかしくないのに責めてどうする

さらに、視聴者が「誰を責めればいいのか」と思ってしまう現在の報じ方では、「どのような対策を施していくか」という学びまでつながりにくいこともデメリットの1つ。今回のような集団感染も特別視せず、通常の職場感染や家族感染と変わらないスタンスで、冷静に報じていくべきではないでしょうか。

また、部活クラスターという違和感たっぷりのフレーズをすんなり受け入れてしまう人々にも闇を感じざるをえません。メディアの浅はかなネーミングに踊らされることなく、落ち着いて信頼できるものを選ぶ姿勢が求められているのです。

感染対策が甘くても断罪できない

部活クラスターという報道を見て、「こんなときに部活動をするな」という批判があがっていますが、学校にとっても生徒にとっても部活動は本分の1つ。それに文部科学省も、各自治体の教育委員会なども、部活動を禁止していませんし、都道府県をまたぐ移動も禁止していません。立正大淞南高サッカー部が批判された遠征試合についても、たとえば野球には都道府県の独自大会や甲子園交流試合がありますし、他競技も練習試合や大会を行っています。

また、個別で独自の感染対策を施している自治体や学校も少なくありません。たとえば、「活動時間を限定して朝練などは禁止」「必要な伝達事項のみで“声出し”は控える」「陸上やプールのレーンを1つ空けて使う」「サッカー、バスケットボール、ハンドボールなどの対人プレーは行わない」「柔道は寝技、レスリングはスパーリングを禁止」など独自の制限をしているようなのです。

これらの背景や努力を踏まえずに「部活動そのものを止めろ」と言うのは暴論であり、学生生活を賭けてきた生徒や、それを支えてきた関係者の思いを無視するのは非情ではないでしょうか。

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