少年院で働く児童精神科医がパズルを作った訳 勉強嫌いな子の目が輝く!超簡単な「基礎トレ」

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学力と認知能力、その意外な関係とは?(写真:Fast&Slow / PIXTA)
お子さんがまじめに勉強に取り組んでいるのに、「いまひとつテストの点につながらない」「授業についていけない」「不注意なことが多い」……そんな悩みをもつ親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
『医者が考案したコグトレ・パズル』の著者であり、医学博士、臨床心理士の宮口幸治氏によると、「認知機能を強化することで改善できる可能性がある」と言います。
子どもの認知機能の弱さに気づいた経緯とそれを強化する具体的なトレーニング方法について、聞いてみました。

少年院で感じた「認知機能を高める」必要性

私は児童精神科医として、2009年から現在まで10年以上、少年院に勤務してきました。勤務当初は、凶暴な少年ばかりいるのではと身構えていましたが、実際にはそんなことはありませんでした。

成功体験が少ないために自信が持てない少年、学習面でも困っている少年が大勢いたのです。彼らの多くは、「簡単な計算ができない」「漢字が読めない・書けない」「簡単な図形を書き写せない」ということで、基礎的な学力が身に付いていませんでした。

また、彼らは見る力、聞く力、想像する力が弱く、そのせいで勉強ができないばかりでなく、周りの状況が読めなくて対人関係で失敗することが多かったのです。

例えば、見たり聞いたりする力が弱いと、相手の意図をくみ取るのが難しい場面が出てきます。

●相手が別の話題で笑っていたのに、「私のことをバカにしていた」「僕の悪口を言っていた」と誤解する
●相手がたまたまその場から離れたら「私のことを避けている」などと被害感を抱いてしまう
●相手の言っていたことを聞き違えて、悪口を言われたと思い込む

最初の認知の段階で間違った入力をしてしまうせいで、誤解を受けたり招いたり、対人関係がうまく築けないケースもあるのです。

こういった場合、認知機能が高まれば、相手の意図をくみ取りやすくなり、良好な対人関係が築ける可能性も高まります。

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