日本国債がそれでも持ちこたえているカラクリ 「ワニの口」が開きっぱなしで本当に大丈夫か
ところが、日本の場合はマイナス金利のままの状態が続いている。麻生財務大臣が指摘したように、日本の金利は一向に上昇(価格は低下)の兆しを見せない。
日本どころか、世界でみても、リーマンショック時に世界の中央銀行がそろって莫大な資金を市中に拠出したにもかかわらず、インフレはやってこなかった。アメリカの「ヘリコプター・マネー」と揶揄されるほどの大量の資金も、金融市場の流動性を潤滑にして、ドナルド・トランプ大統領の就任とともに、株式市場や不動産市場に資金が流れた。紙幣を印刷してばらまけば、かつては必ずと言っていいほど、インフレもしくはハイパーインフレのような状態になったにもかかわらず、物価は上昇しなかった。
日本の財政状況もハイパーインフレどころか、インフレにもならず、ひたすらデフレから脱却できないでいる。財政の基本とは異なる結果になっており、だれもその明確な理由を説明できないでいるのが現状と言っていい。
日本国債がデフォルトの可能性を見せない6つの理由
そもそもなぜ日本の財政が破綻しないのか、これまで指摘されてきた内容をいくつかピックアップすると、次のようなものが挙げられる。
2.世界最大の債権国であり、経常収支が黒字で外貨準備高も十分にある
3.クジラと呼ばれる公的資金を総動員して日本国債を買い支えることができる
4.海外勢が日本国債の売り方に回っても、民間の生命保険会社や銀行が買い支える
5.中央銀行である日本銀行が日本国債を買い入れるシステムが確立されている
6.国民が円を信用し、日本政府を信用している
こう考えると、1と2、6以外は日本特有の金融環境に基づいたセーフティーネットと言える。近年、財政が破綻してハイパーインフレなどに陥ったベネズエラやジンバブエは、上記の条件を1つも満たしていない。日本も国力が落ちれば、ベネズエラやジンバブエのようになるかもしれないが、当分は安泰と言えるだろう。
実際に、日本国債の格付けはムーディーズ(A1)、S&P(A+)、フィッチ(A)と安定しており、債券がデフォルト(債務不履行)した際に支払われる保証料の目安となる「CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)」の値も60.45ペーシス・ポイント(Markit iTraxx Japan、8月5日現在)となっており、こちらも安定している。
もっとも、格付け会社の投資適格債券に対する格付けは、リーマンショック時にそのずさんさが批判されており、以前のような高い信頼度があるのかどうかは不明だ。
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