日本国債がそれでも持ちこたえているカラクリ 「ワニの口」が開きっぱなしで本当に大丈夫か
好むと好まざるとにかかわらず、国債や社債の償還期限は確実に迫ってくる。そうした状況の中で、世界経済はどうなるのか。そして日本の大きく開いたワニの口の先行きはどうなるのか。日本の財政状況を取り巻く環境について考えてみたい。
日本政府の2020年度の一般会計予算は、当初予算で102.7兆円だった。いまや注目されなくなったが、100兆円を超える予算が特別な災害のない年でも組まれるようになったのは最近のことだ。緊縮財政などという発想は当初から存在していない。そんな予算の組み方と言える。
よく反緊縮財政を訴える人々は、「財務省が緊縮財政にこだわるために、日本はいつまでたってもデフレ経済から脱却できない」といった言い方をするが、麻生太郎財務大臣の発言などを見てもわかるように、反緊縮財政のリーダーこそ財務省ではないかと考えることもできる。
財務省は財政破綻を本気で心配しているのか
わずか63.5兆円程度の税収しかないのに政治的判断で100兆円規模の予算が組まれる。財務省が財政破綻を本気で心配している管轄省庁とはとても思えない。しかも、安倍政権になってからは中央銀行である日本銀行まで巻き込んでしまった。
いずれにしても、今回のコロナの影響で2020年度予算は極めて特殊なものになった。当初予算に加えて2回の補正予算を組むことになり、1回目の補正予算で25.7兆円、2回目は31.9兆円。合計で2020年度は単年度で160.3兆円の一般会計を組むことになったのだ。
これらの予算のうち、当初予算で32.6兆円、1回目と2回目の補正予算で57.6兆円が「新規国債発行」によって賄われ、合計で90.2兆円が新たに発行されることになった。しかも、このうちの71.4兆円が「特例国債」と呼ばれるも、いわゆる「赤字国債」となる。まとめると次のようになる。
●補正予算……57.6兆円(新規国債57.6兆円、赤字国債46兆円)
どの程度借金に頼っているのかを示す「公債依存度」は、2009年度のリーマンショック時は51.5%、2012年の東日本大震災時では48.9%だったのだが、今回のコロナでは56.3%まで跳ね上がる。そのうちの44.5%は赤字国債の割合になる。
ワクチンや治療薬の開発次第だが、今後はもっと凄まじい経済対策が必要になるかもしれない。実際に、まもなく始まる2021年度の当初予算の編成では、概算要求基準の設定を見送った。要するに、各省庁とも上限を決めずに青天井で予算を要求できることになったわけだ。
むろん、要求してもそのまま通るわけではないが、直接コロナとは関係のない省庁でも、ここぞとばかりにこれまで計画していたプロジェクトの予算を計上してくる可能性が極めて高い。
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