あのイタリアがコロナ感染者「激減」させた方法

かつての医療崩壊からはとうに脱却

当初、イタリアは町ごとに封鎖され、続いて北部のロンバルディア州、そしてイタリア半島全体と島々までが封鎖された。イタリア中央部と南部ではほとんどウイルスが広がっていなかったのにこの措置が取られた。これによって、北部の工業地帯で働く労働者が脆弱な南部の故郷に帰るのを防いだだけでなく、国全体としての統一的な対応が行われることとなった

ロックダウンの間、地域間の移動や、都市のブロックの間の移動さえも制限され、仕事や健康上の理由など「必要があって」出かける場合には、それを証明するための書類に記入しなければならなかった。マスクやソーシャル・ディスタンスなどに関しては、地域の警察が取り締まりを行い、違反には厳しい罰金が課せられた。人々は、渋々ではあったかもしれないが、全般的にルールに従った。

警戒感を持ち続ける

町から人の姿が消え、イタリア北部の高齢者には大きな負荷がかかるなど、苦しみが広がる一方で、ウイルスの感染率は早期に低下し、やがてグラフは平らになった。他のヨーロッパの国々、たとえばロックダウンとは異なる方法をとったスウェーデンなどでは、こうはいかなかった。

最初の大流行は医療崩壊した病院の中にとどめられ、それは大きなストレスをつくり出したものの、医師や看護師は効率的に接触者追跡をすることができた。

その後、イタリアは徐々に経済を再開し始め、ウイルスの潜伏期間に合わせて、2週間ごとに自由を拡大していった。

ロックダウンはやがて、社会の中に広がるウイルスの量を減らすという二次的な効果をもたらし、それによって、ウイルスを持つ人と接触する確率も低くなった。ロックダウンの最後には、存在するウイルスの量は急激に減少し、中部と南部の地域では、感染の連鎖がほぼ存在しないところもあった。

ゲラは、「このような病気は、常に確率の問題だ」と言う。そして、たとえば下水の中のウイルスの痕跡をモニタリングするなど、新しい早期警戒システムが感染の確率をさらに下げるという。

それでも、国立衛生研究所のレツァは、「たとえ状況が他の国々よりよいとしても、私たちは引き続き慎重でなければならない」と述べ、イタリアの対策の何が正しかったかを問うのは、「この感染症が終わりを迎えた」時にするべきだと言った。「何日か後に、イタリアで大流行が発生する可能性は除外できない。単に時間の問題かもしれない」。

(執筆:Jason Horowitz、翻訳:東方雅美)
© 2020 The New York Times Company

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