自分の人生を生きていない「日本人」の行く末 コロナでより主体性が必要とされてきている
岡本:そういう自分の価値観を知るとか、自分と向き合うというのはどのようにやっているのですか。
東松:僕は帰りの飛行機の時間を使っていました。海外旅行のような非日常は、日常と比較できるので、自分を知りやすいんです。例えば、「あそこであの店に入りたいと思った」「あの道を通りたいと思った」「あそこは行きたいと思わなかった」と、自分のテンションが上がった場所などを思い出して、どうしてそう思ったか突き詰めてみる。それを海外旅行の旅にやることが自己分析の繰り返しになったと思います。
そうした中で、自分の得意・不得意な領域というのが見えてくる。仕事では結局いろいろやらされるのですが、そこにも濃淡を付けることができる。周りを見ていると、そういう自分の特性に気付けている人は少ないと感じます。岡本さんは、内省はどうやってされているのですか。
発展途上国で感じる日本人への「疑問」
岡本:私も旅行です。ゴールデンウィークや年末年始に10日間とか2週間とか一気に休んで、それ以外は連休にちょっと行きます。年に3、4回しか海外には行けないのですが、そのときに本を5冊から10冊持って行って、行き帰りの飛行機や、ホテルで本を読みながら気がついたことをずっとメモって、それが内省作業になっている。30歳の時からずっと続けていているので、13、4年になります。
例えば2007年に自分が起業しようと思った時の考えていたこと、というのが手元にあるんですよね。それと比べると、「自分はこういうところが成長したんだ」とか、ここはまだなんだなぁとわかる。自分の成長を誰かが教えてくれることはあまりありませんが、当時のメモを見ていると自分でそれを感じられる。それが実感できると自信にもつながってきますね。
東松:僕の場合は、海外に行ったらまずお気に入りのノートを買うところから始めて、テンションあげてから書きます。そして写真も撮って、その写真を見ながら「なんでこう思ったのかなぁ」って振り返るといったことをしています。
岡本:海外だと10日間くらい日本語入ってこないですよね。自分の心の声しか聞こえないのが、すごくいい内省になるんですよ。本の文字と自分の心の声だけじゃないですか。あの状態を続けると、誰しも自分の価値観にたどり着けるんじゃないかなと思います。
発展途上国に行くと、貧しい暮らしをしている人と出会うことも少なくない。でも、家の軒先とかでおじいちゃんから子どもまで本当にニコニコしながらご飯を食べているのを見ると、東京の満員電車で毎朝死んだ目をしながら出社しているのとどっちが幸せなのか、を考えてしまいます。その時に感じるのは、前者が自分の人生を生きている、ということです。
東松:このコロナの期間が自分と向き合う時間になればいいですよね。今までのことを振り返ったり、今までできなかったことをちょっとやってみるとか。会社や仕事が中心ではなく、自分を中心にして生きる。その上で仕事を頑張る、というほうが、幸福度が高い気がします。
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