シェアードビジネスにとっては嫌な時期が来たのは事実だが、モネにとってはビジネスチャンスばかりだ。モネコンソーシアムの会員企業にアンケートをしたら、9割が(業績の)影響を受けているという。
それでも、35%の会員企業が2021年度中に(移動を絡めた)サービスを開始したいと。急に言い出した感じだ。
――これまでMaaSに関しては様子見の企業が多かったように思います。企業の考え方がなぜ変わったのでしょうか。
みんな自粛して巣ごもりが嫌だったんじゃないのかな。外出できるとしたらどんな方法があるんだろうと考えたのかもしれない。移動手段として感染症対策ができた車の配車があったらよいという人もいた。
今回のコロナ禍ではフードデリバリーばかりがクローズアップされたが、われわれへの問い合わせでいちばん多かったのは医療MaaSだった。
「PCRカー」もつくりたい
長野県伊那市で看護師を乗せた車両で患者のところに行き、病院にいるドクターが遠隔で診察する実証実験をやっている。そういった車両を導入できないかという自治体からの問い合わせはものすごくあった。高齢者が病院まで行くのは感染リスクがあるから、診察をする車が来てくれたらベターというわけ。
自治体からは行政サービスを“移動させたい”という要望もたくさんもらった。住民票や印鑑証明書を出張サービスで発行したいと。テクノロジー的には十分可能なので後は行政自身がデジタル化してくれたらいい。
本当は(新型コロナの感染を検査する)「PCRカー」を作りたいと思っている。なかなか許可をもらえないだろうなと思いながら。
――モネはもともと、地方での移動手段の提供などMaaSによる社会課題の解決を掲げていました。新型コロナで貢献できる領域が増えたわけですね。
まさにそれを痛感している。
「たられば」を言ってもしょうがないが、もし自動運転車があって、この新型コロナを迎えていたら、われわれはもっと社会の役に立つ会社だったと思う。ドライバーの感染リスクもなくなるし、滅菌システムを搭載することで乗客の降車後に消毒もできるのだから。
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