「ホームレスを殺す若者」を25年追う女性の真意 実の父を追いつめた彼女が歩んできた道

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自己尊重トレーナー・ノンフィクションライター北村年子さん(撮影:近藤陽介)

病身の父を責め、追い詰めて「死なせてしまった」原体験。罪悪感にかられ、泣くに泣けなかった少女時代を経て、たどり着いたのはホームレス襲撃問題だった。被害者に寄り添い、加害者を見捨てず、傍観者に働きかけることも諦めない。この社会が、あるがままを受け入れ認め合える「ホーム」となるように──。

ホームレスの人々への偏見をなくす活動

「おはようございます! 北村年子です。すごくお久しぶりです!」

当記事は「週刊女性PRIME」(運営:主婦と生活社)の提供記事です

7月14日午前8時、FMヨコハマのスタジオ。ノンフィクションライターの北村年子さんが、張りのある声でマイクに向かって語りかけた。放送中の番組は毎週月曜〜木曜の『ちょうどいいラジオ』の人気コーナー、「おはよう!ネンコさん」。

新型コロナウイルスの感染拡大でこのコーナーは4月半ば以降、リモート放送になっていたが、およそ3か月ぶりのスタジオ入りとなった。

この日のテーマは「自律心を育てよう」。

「自律心とは、自分で決めたことやルールに基づいて行動することなんです。ここ数年、教育現場でも子どもの自律心をどう育てるのかが課題になっています」

そう語る北村さんは普段、自己尊重トレーナーとして各地で講座やワークショップを開催し、子育て支援活動にも取り組んでいる、女性にとっての“先輩ママ”のような存在だ。彼女の語り口には、悩んでいる人々をそっと包み込むような包容力がある。

そんな北村さんが提唱する自己尊重とは「この世に唯一無二の、かけがえのない自分を慈しみ、大切に思う気持ち」を現す。それは自分を褒め高く評価することではなく、失敗や欠点を含めた不完全な自分をあるがままに受け入れ、「今この自分が価値ある存在」と思えることでもある。

とくに子育てに悩む母親たちに、そんな啓発活動を続ける北村さんであるが、実はもうひとつの顔もあわせ持っている。それは路上で生活するホームレスの人々への偏見をなくす活動だ。

といっても北村さんは花柄のワンピースが似合う華やかさがあり、世間一般でいう「ホームレス」という言葉が持つイメージからは、ややかけ離れた雰囲気の女性だ。

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