米留学後PMDDで主婦になった25歳女性の苦悩 「上司からのパワハラ」がストレスとなった
医療系の仕事をする夫は、PMDDに理解を示し、自らPMDDに関する文献を読み、客観的なアドバイスをくれる。
「夫には物理的に攻撃してしまったことはありません。ただ、『死にたい』『どうせ私なんて価値のない人間』といった言葉で傷つけてしまったことや、公共の場で八つ当たりをしてしまったことはあります。『あなたには私の絶望なんてわからない』『PMDDで仕事に支障がないなんてうらやましい』なんて夫に言っても仕方がないし、不快な思いをさせるだけと理性ではわかっているのですが、どうしても言わずにはいられなくなるのです……」
これまで渡辺さんは、婦人科ではヤーズ、ルナベル、ジェミーナといったピルや漢方薬を服用してきた。ヤーズは、留学中はよかったが、帰国後にPMDDが悪化してからは、飲むと頭痛がひどくなり、続けられなくなった。ルナベルは、不正出血の量が多く、頭痛もひどかったので中止し、ジェミーナに落ち着いて、1年以上服用している。
一方、精神科では、パキシル、セルトラリン、ソラナックスを処方された。
「ピルはPMDDの症状には効きませんが、私は生理不順になりやすい体質なので、スケジュールを管理するという意味でジェミーナを飲み続けています。漢方薬は、五苓散がむくみや頭痛に効きましたが、それ以外のものは効果が感じられませんでした。精神科で処方された薬は、不安やパニックに効いた気がしますが、私の場合、PMDDの原因は仕事によるストレスだと思っていて、『精神薬に頼ってまで続けなくてはならない仕事なのか?』という疑問が湧きました。なので、今では飲んでいません」
同じ女性から理解を得られないのがつらい
2回目の退職から、渡辺さんは就職活動をしていない。
「仕事をスパッと辞め、ストレスの根っこを思い切って取り除いてしまってから、1年近くかかりましたが、かなり体調が安定しました。ストレスが少なくなり、運動・生活リズム・食生活にも気を使えるようになったことが大きいと思います。私は仕事を続けながらストレスを処理する方法を見いだせませんでしたが、仕事といっても千差万別で、さまざまな働き方があるので、他人と比べず、自分に合った働き方をトライアルアンドエラーで模索していくことが大切なのかもしれません」
渡辺さんは、お風呂上がりにストレッチや自重筋トレなどをし、日中は散歩をする。早寝早起きを心がけ、1日3食なるべく同じ時間に摂ることや、栄養バランスに注意している。
「もちろん、注意していてもできないときはあります。大切なのは、自分を責めないようにすること。体調管理で重要なのは、ストレスを看過しないこと。ストレスを放置していると、生理前に体調が悪化します。『今月は身体に負担をかけたな』と感じれば、予定を詰めすぎず、家でゆっくりコメディなどを見て笑うことを心がけています。自身の体調が芳しくないと思ったら夫に伝え、一緒にリラックスして過ごせるようにしています。理解されるだけでも心強いですし、お互いに安心します」
渡辺さんがPMDDで最もつらいのは、「同じ女性から理解を得られないとき」。過去に「そんなこと女性なら誰でも我慢している」「自己管理できないあなたがおかしい」などと言われた記憶がPMDDになると重くのしかかってきて、最終的には潰されてしまうという。
「私はPMDDとフルタイムの仕事とを両立することができず、夫に扶養されて半年経ちましたが、仕事をしたくてもできない自分の歯がゆさにはいつまで経っても慣れることができません。そもそも比べるものではないのですが、ほかの人のように働けない自分を見ると、どうしても自信喪失・自己嫌悪に陥ってしまいます……」
「また働きたい」という渡辺さん。興味のある新しい分野に挑戦するため、現在は人生の休養期間中だ。
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