米留学後PMDDで主婦になった25歳女性の苦悩 「上司からのパワハラ」がストレスとなった

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精神科医は、「今いる会社は向いていないから、回復することは難しい」とキッパリ。適応障害とPMDDと診断され、ドクターストップがかかったため休職することに。

しかし復職しても続かず、「周囲にこれ以上迷惑をかけたくない」「惨めな思いをし続けたくない」と思い、半年ほどで退職した。

女性上司からのパワハラ

最初の退職から3カ月後、金融系情報サービスの営業職として再就職した。しかし入社後すぐに、教育担当になった女性上司からパワハラを受け始める。

「その会社は業務量に対して人員が不足しており、社員はキャパシティーオーバーの業務を請け負っていました。私が入社したのはちょうど繁忙期で、たぶん、女性上司もとてもストレスがたまっていたのだと思います。私も社会人として欠けるところがあったと思いますが、入社したばかりで右も左もわからないのに、質問をするだけで、ほかの社員がいる前で人格まで否定するような暴言を毎日何度も言われました」

「このままでは潰れてしまう」と思った渡辺さんは人事に相談。その女性上司は教育担当から外された。

幸い、女性上司以外の社内の人間関係は良好だったが、パワハラ問題が解決してから2カ月ほど経った頃、一時的に改善していたPMDDが悪化。自分の体調や感情をコントロールすることができなくなってしまう。

渡辺さんが相談したところ、会社はPMDDに対して理解を示してくれた。しかし渡辺さんは、悩んだ末に退職を決意。就業期間はやはり約半年だった。

「おそらく、パワハラを受けていた間は生き延びるので精いっぱいでしたが、パワハラが落ち着いたため、遅れてPMDDが悪化し始めたのかもしれません……」

やがて渡辺さんは、女性婦人科医が経営するレディースクリニックにたどり着いた。

女性婦人科医は、PMDDについて親身に相談に乗り、「生理前にこのような症状で苦しんでいる人は、あなただけではない」と教えてくれた。

「3年ほどずっと飲んでいたヤーズが合わなくなってきたことを話したら、副作用からほかにどのピルが合うかの提案や、生理前の身体的な症状に合わせた漢方の処方をしてくださり、とても安心感を覚えました。身体的症状は改善しましたが、精神的症状にはやはり精神科へ行ったほうがいいとのことでしたので、別に精神科医にかかることにしました」

最初の会社を辞めたときにかかった精神科とは別の精神科へ行くと、やはりPMDDと診断。

「基本的にPMDDはピルでは改善は見られにくい」とのことで、抗うつ薬のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を処方され、ストレスを適切に処理するためにリラクゼーション療法を勧められた。

「リラクゼーション療法とは、自分でストレスフルになってきたと感じたら、アロマをたく、湯船に浸かる、音楽を聴く、軽い運動をするなどして、ストレスを限界までためず、少しずつ消化していくことです」

2回目の退職から6カ月後、渡辺さんはかねて交際していた男性と入籍した。

渡辺さんは生理の2週間以上前から、集中力の欠如・物忘れ・気怠さ、身体が鉛のようになる・感情の劇的な起伏、易怒性、非常に涙脆くなる・食欲の増加・被害妄想・ネガティブ思考、自己嫌悪・むくみ・偏頭痛・吐き気・眠気の増加・パニック・自殺願望などの症状に悩まされる。

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