日本のオンライン診療「残念」なほど後れる実態 医師の責任や個人情報の問題は本当に障害か

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私はそのとき、ある大手製薬会社が提供しているオンラインの血液検査キットをウェブで注文して購入しました。

自分で採血をして血液を容器に密閉して郵送すると、数日で結果を教えてくれるのです。あまり安価なものではありませんが、病院まで出かけなくても正確な結果を知ることができるのは、大変便利です。そのときは、結果に異常値がなかったので、随分、安心しました。

技術的には、すでにこうしたことが可能となっているのです。

いや、中国では、もっと進んだことが行われています。

2013年に設立されたインターネット専業の損害保険会社である衆安保険は、糖尿病患者を対象とした医療保険を提供しています。ここでは、テンセントが開発したタッチパネル式の測定端末で血糖値のデータを取り、血糖値が規定値を下回われば、保険金が増額されます。

この「測定端末」がどういうものなのか、詳細はわからないのですが、「タッチパネル式」というのですから、上で述べた血液検査キットよりさらに簡単に血液検査ができるのでしょう。

こうした最先端技術を駆使すれば、家にいたままで、かなり詳細なデータを医療機関に送ることができます。

上で述べたように、イギリスでは、国民医療保険が、AIの自動診断を導入しています。

こうした技術進歩を考えると、以下に述べる日本でのオンライン医療に対する硬直的な姿勢は、まったく理解できないものです。

日本では医師会が反対

海外では、コロナ以前からオンライン診療に積極的に取り組んでいたのに対し、日本では、コロナ対策としてやむをえずオンライン診療を認めたという面が強かったと思います。

日本医師会は、初診からのオンライン診療は、情報のない中での問診と視診だけの診療や処方となるため、大変危険であると、従来から主張してきました。

そして、今回の措置が「時限措置」であることが強調されています。

日本医師会の松本吉郎常任理事は、緊急事態宣言が延長されたとき、記者会見で、「初診からのオンライン診療は、情報がない中で診療をするため、大変危険だと指摘してきた。今回の政府方針は、非常事態のもとでの例外中の例外という認識だ」と述べています。  

そして、実際、特例として導入はされたものの、元に戻りそうです。

次ページ「オンライン診療が危険だ」という論理は、理解できない
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