日本のオンライン診療「残念」なほど後れる実態 医師の責任や個人情報の問題は本当に障害か

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中国では、すでに2019年夏にオンライン診療を公的医療保険の対象とする方針を打ち出しています。医師不足の中国では、もともとオンライン診療のニーズが強いのです。

中国の調査会社によると、春節(旧正月)期間におけるオンライン診療アプリの利用者数は、前年より約3割増えました。

代表的なアプリが「平安好医生」(平安グッドドクター)です。これは、時価総額が中国最大の保険会社である中国平安保険の傘下企業が提供するサービスで、医師とオンラインで健康相談ができたり、薬の手配ができたりする世界最大の遠隔医療プラットフォームです。登録者数は3億人を超え、診療回数は1日約73万回に達しています。

日本ではなかなか進まないのが実情

日本では、これまでも、オンライン診療は形式的には認められていました。

2003年3月に、「対面診療と適切に組み合わせて行われるときは、遠隔診療によっても差し支えない」ことが確認されました。

2018年度の診療報酬改定において、診療報酬にオンライン診療料等が創設されました。

ただし、3カ月の受診歴が必要で対象も慢性疾患に限られるなど、制約が大きかったのです。

ところが、2020年4月10日に、新型コロナウイルス感染症拡大期の「時限的・特例的な対応」として、初診からの「電話や情報通信機器を用いた診療」が可能になりました。

では、実態はどうだったでしょうか?

私の個人的な経験を述べましょう。近くの病院で血液検査をして、その結果をいつも通っている病院に電話で伝えることで、定期健診に替えようと思い、近くの病院に電話をしたところ、「紹介状が必要」等々の面倒なことを言われて、結局のところ諦めました。

この病院ではこれまでに何度か診療を受けたことがあり、カルテがあります。それでも、このような状況でした。つまり、オンライン診療にたどり着く前の状態でつまずいてしまったのです。

「まったく、話にならない」というのが実態です。

これは、緊急事態宣言が発令されていた最中のことです。いまなら、最初から門前払いされることでしょう。

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