コロナ後「GAFAやBAT」に続く急成長企業の息吹 時間を節約してくれる存在がこの先大きくなる

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しかしパンデミックでもGAFAはパワフルになり、全体の70~80%の企業は弱体化する。格差がさらに拡大するわけだ。結局はそういうことかとモヤモヤした気持ちにもなるが、そんななか、ギャロウェイ氏は新たな潮流に注目してもいるようだ。

リスクテイキングを認めよ

パンデミック後にも成長を期待できる“NEXT GAFA”として、中国のBAT(検索エンジンの「百度(バイドゥ)」、IT企業の「阿里巴巴(アリババ)」、SNSの「騰訊(テンセント)」)の名を挙げているのだ。BATが世界で最も価値のある10の企業に入ることは間違いないだろうと。

「今や、インターネットは2つある」と言われます。2つとは、西洋のインターネットと、中国のインターネット「Great Firewall」(万里の長城Great Wallとネットワークの壁であるFirewallをかけた言葉)です。
しかし、現在のところ、中国の企業がアメリカに入ってくる様子はありません。アメリカを成長市場と見ていないわけではなく、中国政権とアメリカが、非常に外国人嫌いで、愛国主義的だからです。(164ページより)

そんなこともあって氏は、「BATとGAFAがぶつかり合う場所は、アメリカではなく、アフリカやインドだろう」と考える。なぜならBATは中国国内だけではなく、東南アジア全体で成長しているからだ。

また、中国にはGAFAが進出しづらい理由がもう1つある。まずGAFAのような企業を迎え入れたのち、知的財産を盗んでから追い出し、「まねして起業した国内企業で利益の大半を獲得する」というビジネスモデルを選択していることだ。それは国同士が結ぶ、さまざまな貿易協定に違反している。

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中国では国が中心となって個人データの収集を進めており、それがBATの巨大なポテンシャルになっていることは否定できない。だが同時に、アメリカやヨーロッパが、国民の自由やプライバシーを重んじることにも重要な価値がある。

そして、その違いは今回のパンデミックへの対処法でも明白なものとなった。たしかに短期的には、国民のデータを収集できるというメリットがあるかもしれない。だが長期的に見れば、無制限にデータを収集されることを人々から嫌がられるというデメリットもあるわけだ。

とはいえ、BATの動向から目が離せないことは間違いないだろう。ちなみに日本企業にも“NEXT GAFA”のプレーヤーになる可能性はあるものの、もっとリスクテイキングを文化として認めるべきだともいう。

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