《財務・会計講座》NPV(正味現在価値)とは何か?~超過利潤の源泉としての競争優位性

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 ある市場において中長期的な商品の再生産に必要な水準以上の利潤が存在する(即ち、経済的利潤がプラス)の場合には、投資家からその市場へ資本が追加提供され、新規企業が生産者として市場に参入してくるか、もしくは既存企業が生産を拡大することによって、市場での供給が増加し、均衡価格水準が低下していく。一方、最小限のレベルの利潤が得られない場合は、投資家は資本を回収し、この結果、一部の企業は市場から撤退することになる。このようなプロセス通じて、市場の価格は再び中長期的に経済的利潤がセロとなる水準に収斂(れん)していく。

 完全競争が成立するには、以下の5つの条件が必要となる。

(1)市場参加者の微小性: 市場には小さな生産者と消費者がそれぞれ多数存在し、それぞれの行動は他者に大きな影響を与えることがない。この結果として、全ての生産者は市場での価格(均衡価格)を所与のものとして受け入れざるを得ない。
(2)商品の均一性: すべての商品は、同じカテゴリーの商品である限りは完全に代替可能である。つまり商品による差別化が行われていない状態にある。
(3)情報の完全性: 全ての生産者と消費者は、他社の商品を含め、全ての商品の性質と価格を完全に知っている。
(4)平等なアクセス: 全ての生産者が、その商品の生産に必要な技術へアクセスでき、生産・販売にかかわるリソースや情報も完全に無料で入手可能である。
(5)参入・退出の自由: 全ての生産者が市場に自由に参入し、退出できる。

図-1:完全競争下における市場価格の決定
 ここで重要なのは、経済学でいうところの「ゼロ経済的利潤」、つまり「中長期的に商品の再生産が可能な最小限のレベルの利潤」とは何を意味するのかである。企業は当然のことながら生産活動を行うにあたって資本(有利子負債と株主資本)を調達し、その資本を事業活動に投入する。したがって、事業から生み出されたキャッシュフローの中から、投資家が要求する適正なリターンを支払わねばならない。投資家が要求する適正なリターンとは、経済学でいうところの資本の機会費用であり、ある特定の市場に投資することによって平均的に得られる(事業リスクの大きさに見合った)リターンを意味する。

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