八丈島の島民達が描く「離島の観光業」の未来 コロナ禍での住民たちの本音を聞く(後編)

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歌川:仕事と住居の両方を提供できる体制の整備が欠かせません。今、島内で移住者の受け入れで成果を上げているケースは私が見たところ2社あります。

1つは弊社です。うちのホテルは55人の従業員がいますが、島生まれ、島育ちは1割しかいません。残りの約50人のうち半分は、島の人と結婚して島にやって来て働いている人、後の半分はうちの仕事で採用されて島にやってきて、寮やアパートに住んで働いている人たちです。

仕事と住居の両方があれば移住のハードルは低い。そのうえで、土地になじめるかどうか。うちでは働き始めて1週間後に「島の暮らしに合わなければ帰っていいよ」と、やっていけるかどうかの意思を確認しています。今後は、移住定住促進協議会として受け入れ態勢を整え、体験入社の形からスタートするような仕組みを作っていきたいと考えています。

八丈島の知名度をもっと上げていきたい

アフターコロナに備え、八丈島の情報発信に関しても、島民たちは新たな形を模索し始めている。

大澤:先ほど歌川さんもおっしゃっていましたが、団体シニア客が減っていく中で新たな客層を増やしていくには、八丈島のすばらしさをどんどん発信していかなくてはならないと思います。きれいな風景やおいしいグルメは日本国中、至るところにあります。八丈はなんといっても人だと思います。私としては今後「人に会いに来てもらうツアー」に力を入れていきたいですね。

知らない土地を旅するとき、八丈は沖縄や北海道に比べて知名度が低い。でも八丈には魅力的な人がいっぱい暮らしています。そうした情報をオンラインで発信して島に来てもらう。

移住は引っ越し1つ考えても大変なコストがかかるから、例えば、最初のうちは長い休みの間だけ暮らす、あるいは週末だけ暮らすといった、何らかの形で島と関係を持ってもらう形ができるような情報発信が必要だと思います。

情報発信という点では、島で発行されてきた「南海タイムス」という昭和6年創刊の地域新聞が6月に休刊となった。最近の八丈島には少しずつだが、移住者が増えてきているという。7月1日現在の人口は先月に比べて9人増加している。移住者の人たちにとっても島内情報を掲載した地域媒体は必要だろう。新たな形での情報発信が必要とされているのかもしれない。

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