100円ショップ最後発「ワッツ」が生き残れる訳 業界4位、スーパー内出店で大手競合に対抗

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――2月は店頭でマスクを探しても在庫がありませんでした。

当時はたまに入荷する商品を目当てに来店する顧客がいた。何も買わずに帰った顧客は来店客数にカウントされない。ということは、マスクや除菌商品はなかったが、いわゆる巣ごもり消費的な形でほかの商品を買った顧客が相当数いたということだ。

ひらおか・ふみお/1960年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部卒。川崎市立平間中学校、立正中学校・高等学校で教員として勤務。1998年4月に義父が創業トップを務めていたワッツに入社。2000年3月取締役、2003年3月から現職(撮影:今井康一)

当社の強みは食品スーパー内の出店が多いことだ。大きなショッピングセンターが閉まってしまった中で、(当社の店舗は)食品スーパー内の出店が全体の8割強と多く、閉鎖になった店舗が他社と比べて少なかった。

食品スーパーの商圏は大きくないが、(来店は)週に2回、3回、4回になる。100円ショップ(の商品)は消耗品といっても1カ月や2カ月はもつので、顧客の数は限られ、店舗当たりの売上高は小さい。ワッツが競合他社と違うのは、小さな売上高でもって成り立つビジネスモデルでやっているところだ。

国内にスーパーマーケットは2万以上あり、半分以上は100円コーナーがない。100円コーナーを必要としない強いスーパーや、小さすぎて展開が難しいところも多いが、今よりも(売上高が)小さくても成り立つモデルを開発していく。

経営環境は100円ショップにプラス

――目標は何ですか。

外に出すような数値目標はないが、(今の状況は)100円ショップ業界全体に完全にプラスに作用している。ダイソーやセリア、キャンドゥといった他社さんがどう向かっていくのか、今年の後半あたりに(お店づくりの方向性が)顕著に出てくると思う。

――コロナ時代に商品戦略をどのように変えていきますか。

消費者から支持される商品を提供するのが小売業の基本だ。コアな商品は、いわゆる家庭内の消耗雑貨。すべての商品がボリュームと品質でもってナンバーワンということはありえないが、分野ごとに常によりよいものを提供しようと努力してきた。一定の顧客の支持は得られたと思っている。

コロナ後の「新常態」とどのように向き合っていくべきなのか。「週刊東洋経済プラス」では、経営者やスペシャリストのインタビューを連載中です。(画像をクリックすると一覧ページにジャンプします)

例えば、コロナ禍で非常によく売れたのがアルコールのウェットティッシュ。20枚入りのパック2つを100円(税別)で販売したが、このボリュームは業界の中でトップクラスだ。

(ウェットティッシュに使われている)紙は厚手なので、1枚のシートで十分に使え、破けない。取り出し口に粘着テープをしっかり貼って、中が乾かないようにする工夫も重要な差別化のポイントだ。

「週刊東洋経済プラス」のインタビュー拡大版では、「高額商品も展開した理由」「100円ショップの展望」などについても語っている。
古庄 英一 東洋経済 記者

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ふるしょう えいいち / Eiichi Furusho

2000年以降、株式マーケット関連の雑誌編集に携わり、『会社四季報』の英語版『JAPAN COMPANY HANDBOOK』、『株式ウイークリー』の各編集長などを歴任。

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