アミューズ、脱「音楽ライブ依存」で狙う新境地

コロナ禍でも「スポーツ事業」に注力する理由

中国・上海でオープンした屋内型スポーツ施設にも参画。東南アジアを中心に店舗の展開を狙う(写真:アミューズ)

新型コロナウイルスの感染拡大以降、多くの芸能事務所が苦しい状況に立たされている。音楽ライブという重要な収益源が絶たれてしまっているからだ。3密(密閉、密集、密接)の回避がなおも求められる中、会場にぎっしりと人を詰め込むことが当たり前だったライブ興行は、とくに全面再開の見通しが立てづらい。

サザンオールスターズや福山雅治、星野源など、人気歌手を多数抱える芸能事務所・アミューズも、そんな悩みを持つ企業の1つだ。

前期(2020年3月期)はサザンのデビュー40周年記念ツアーで観客動員数が65万人を記録するなど、充実の1年だった。売上高も過去最高を記録した。だが今期は一転、現在までに福山雅治のライブなど40以上の公演が中止、もしくは延期を決定。ミュージカルなど舞台も合わせると、影響を受けた公演は100以上に上る。

ライブ配信など積極化するが・・・

業界全体では、観客動員を減らした形でのライブ開催も徐々に模索され始めてはいる。ただ、急激な回復は望めそうにない。ある音楽事務所関係者は「ライブ観客の動員を半分に減らすと、(開催のための費用が上回り)赤字になってしまう。ネットで同時生配信を行うなどの施策を打つ必要があるが、前例がなく各社手探りだ」と話す。

アミューズもサザンの無観客ライブ配信を6月25日に行った。また、7月12日にも星野源の無観客ライブ配信を行うなど、ライブ配信自体には積極的だ。しかし、会社全体の中止・延期分を補うような打開策には、まだなっていない。

アミューズの営業収入(売上高、2020年3月期は588億円)の内訳を見ると、チケット販売などライブ・イベント関連の収入が占める割合は3割強だ。ただ、リアルのライブができない中では、会場でのグッズ販売や、チケット抽選時などに優遇を受けられるファンクラブ会員の数が落ち込む可能性も大きくなる。

イベント収入にファンクラブ・グッズ収入を合計すると、その構成比は7割を超える。またアーティスト別に見ても、現状では上位数組への依存度が高い状況だ。同社は今2021年3月期の業績予想について「合理的な算定が困難」として非開示にしている。

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