アミューズ、脱「音楽ライブ依存」で狙う新境地 コロナ禍でも「スポーツ事業」に注力する理由

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アミューズ自身、一部アーティストの音楽ライブに依存する収益構造には危機感を持ち、長年にわたってポートフォリオの拡大に努めてきた。2010年結成のBABYMETAL(ベビーメタル)など、世界で活躍する新たなスターも生まれている。またアーティスト以外にも、俳優、タレント、声優、子役、文化人など、マネジメント対象を幅広く開拓してきた。

タレントマネジメントにとどまらない多角化にも力を入れている。例えば2019年には、「LINE CUBE SHIBUYA」(渋谷公会堂)の指定管理者を受注。代表企業として、LINE、パシフィックアートセンターと3社で構成する「渋谷公会堂プロジェクトチーム」を率い、施設管理の指揮にあたっている。

このように多角化を進める中でも、アミューズがいま最も注力するものの1つが、2017年に本格参入したスポーツ事業だ。音楽とは違ったファン層を獲得できる可能性が広がるうえ、「スポーツの魅力は言語や宗教を超え、世界とつながる手段になりえる。海外展開にもつなげやすい」(アミューズの執行役員でスポーツビジネスを担当する坂田淳二氏)ためだ。

窓口業務に終始しないマネジメント

アミューズが行うスポーツ事業は大きく3つに分類できる。1つ目が、スポーツ選手のマネジメントだ。同社ではマラソンで日本記録を持つ大迫傑選手や100メートル走の桐生祥秀選手、また新日本プロレスの所属選手やeスポーツ選手など、幅広いアスリートとマネジメント契約を結ぶ。彼らのテレビ出演、スポンサー獲得などにおいて窓口を担っている。

アミューズが施設運営を担う「有明アリーナ」(写真:アミューズ)

アミューズ以外にも取り組む芸能事務所はいくつかあるが、同社が競合と異なるのは、支援の範囲が単なる“窓口業務”に終始しない点だ。例えば、大迫傑選手が展開している個人アプリでは、トレーニング風景の映像や内容解説を公開する施策をアミューズ側で支援している。有料コンテンツも作成し、選手たちがスポンサー企業からだけではなく、一般消費者から直接収益を得られる仕組みを育成するのが狙いだ。

2つ目が、競技場のマネジメントだ。アミューズはオリンピック会場として建設された「有明アリーナ」の施設運営権実施契約を東京都と締結。2021年から2046年までの25年間関与することが決まっている。有明アリーナでは、国内外アーティストによるコンサートのほか、スポーツイベントも開催していく予定だ。

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