アミューズ、脱「音楽ライブ依存」で狙う新境地 コロナ禍でも「スポーツ事業」に注力する理由

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具体策の1つが、動画配信だ。「例えば、会場に観客を入れず、配信だけで試合を行うことはできる。その場合、通常より小さな会場を選べば会場費が安く抑えられる。一方で、現地で観戦する体験には希少価値が生まれる。有料配信を行いつつも、会場にごく少数のVIPシートを用意すれば、高価格なチケットを販売することもできる」(坂田氏)。

こうした動画配信をにらみ、アミューズ自身で新しいスポーツ興行を作り出すアイデアもある。「例えば(アミューズ所属の)桐生選手と大迫選手の400m走はどっちが速いのか。そういった興行の楽しみ方も出てくるのではないか」(同)。

2019年にアミューズはテニスのトッププレイヤー、ロジャー・フェデラー選手などが登場した興行を制作・運営で携わった。そうした知見を今後は動画配信を前提にした興行などで生かしていく。

新型コロナで優先順位を変更

屋内型スポーツ施設関連でも打つ手はある。もともとこの施設では、来場者の子どもたちにスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスを身に着けてもらう取り組みを行ってきた。さまざまな遊具で遊んでいる際の様子を記録し、どれだけカロリーを消費したか、そこからどのような食生活をするべきかなどをフィードバックする仕組みだ。

これを日常生活向けに改良し、普段の子どもの運動履歴を親がリアルタイムに把握できる一般消費者向けスマホアプリとして転用することを模索しているのだ。

「もともとは(東南アジアなどで)5店舗ほど出店してから一般向けのアプリ開発・展開という順序で考えていた。ただ、新型コロナを受けて優先順位を変えた」(坂田氏)

コロナショックに直面した企業の最新動向を東洋経済記者がリポート。上の画像をクリックすると特集一覧にジャンプします

アプリは子どもの数が多く、事業規模の拡大が狙える東南アジア圏を中心にリリースしていく予定だ。メンバーシップ制の課金で稼ぐモデルを予定しているという。

新型コロナで当初の思惑どおりに進められない部分がありつつも、着実に手数を増やしているアミューズのスポーツ事業。同社にとって多角化の必要性がますます高まるが、収益柱にまで育てるのは決して簡単ではない。

井上 昌也 東洋経済 記者

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いのうえ まさや / Masaya Inoue

慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大メディア・コミュニケーション研究所修了。2019年東洋経済新報社に入社。現在はテレビ業界や動画配信、エンタメなどを担当。趣味は演劇鑑賞、スポーツ観戦。

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