「立ち食いそば」から見える東京のコロナ事情 品川と五反田で売り上げ回復に差があるワケ

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池田:うちは朝の5時から11時は前年同月比でも95%は確保していました。この時間帯に来るお客様は、完全に固定客。みなさん、働いていますし、この時間帯は混むわけでもないですから。さほどの影響はなかったですね。郊外はファミリー客が離れたのか土日が鈍かったんですが、だんだんと戻ってきていますね。

リモートワークも内容が変わってくる

都心の駅前立地を中心に店舗展開をしてきた富士そば。近年、郊外のロードサイドへの出店を進めてきたゆで太郎。コロナ禍でのリモートワーク普及などで人の動きが変わり、その明暗は、はっきり分かれてしまったようだ。

:ただ、今後、リモートワークがフルリモートになる会社っていうのは、少ないと思うんですよ。週に1、2回は出社したり、家では仕事がしづらいから、カフェやカラオケボックスで仕事をするという人が多くなるでしょう。リモートワークのあり方みたいなのは、これからできてくると思うんです。それこそ、漫画喫茶みたいな、個室のワークスペースが増えてくるとか。

池田:私もそう思います。たとえば、千葉や埼玉の大宮あたりに、20坪ぐらいのオフィスを借りて、5人ぐらいでシェアするとか、ビジネスホテルがリモートワークパックを始めたりとか、ありそうな気がしますね。

コロナの影響が出た日ははっきりとわかった、と話す池田社長(撮影:梅谷秀司)

:リモートでミーティングするのも、カフェでは無理ですからね。家に近いところで仕事して、終わったら家に帰る、というやり方が増えていくと思います。それもあって、今後の出店はこれまでの東京の中心部から、範囲を広げて物件を探していく形になっていくのかなと考えていますね。ただ、それでもうちは人のトラフィック重視なので、ゆで太郎さんのように郊外のロードサイドに出ていくことは考えていませんね。そうなると、今までとは違う業態になってしまうので。

池田:リモートワークで人口が都心から周辺に移ったとしても、それほど地方まではいかないでしょう。東京に通勤していたエリア、千葉、埼玉、神奈川あたりまで。道路で言えば国道16号線の内側ですね。

:中心の人口が少なくなって、それがだんだん周辺に広がった、というイメージですね。今では住宅地寄りの駅前物件をリサーチすることが増えましたし、そういうところで数字の合う物件を、探していくイメージです。時代背景が大きく変わったタイミングなので、これまでの方針は変えなければならないでしょう。今までのように渋谷の周りを歩いて物件を探していても、しょうがない、というか。

本橋 隆司 フリー編集者・ライター

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もとはし たかし / Takashi Motohashi

出版社勤務を経て、フリーの編集者・ライターとして雑誌やWEBサイトなどで活躍中。立ち食い蕎麦好きが高じて、2013年に『立ち食いそば図鑑 東京編』、2014年に『立ち食いそば図鑑 ディープ東京編』を制作して出版。蕎麦愛好者コミュニティ「東京ソバット団」の団長も務める。

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