カインズが今、「M&A」に積極姿勢になった理由 ライバルに加えIT系を買収する可能性も

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ホームセンター最大手のカインズはおしゃれなPBの開発に定評があり、若い女性客を取り込みながら快進撃を続けてきた(写真:カインズ)
長らく頭打ちが続いてきたホームセンター業界が、活況に沸いている。緊急事態宣言後も来店客数は増えており、とくに売れているのはDIY(日曜大工)や園芸、インテリア関連など。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ステイホームを楽しむ生活様式に移り変わってきていることが見て取れる。
一方で業界内に目を転じると、アークランドサカモトがLIXILビバを買収するなど業界再編の動きも出てきた。M&Aとは距離を置きつつ、2019年に自前成長で業界首位に返り咲いた最大手のカインズは、今の変化をどう捉えているのか。土屋裕雅会長に聞いた。

生活に対する考え方が変わった

――ホームセンター業界は絶好調です。コロナ禍による一時的な特需なのでしょうか?

確かに4〜6月の既存店売上高は前年同月比で2ケタ増となったが、足元もあまり変わっていない。緊急事態宣言の期間は終わっているので、特需とは言いたくない。今も売上高が増えているのは、消費者の生活に対する考え方が変わったことが影響している。

ステイホームになったことで、本当は必要だったものが見えるようになった。仕事のあり方や、大げさに言うと生き方も変わったんじゃないかと。日本人サラリーマンは、ほぼ1日を会社で過ごし、仕事が終わったら飲みに行き、家では寝るだけの生活を送ってきた。

でも家で長く過ごすようになると、料理、洗濯、掃除、家にまつわることが目についてくる。これまでインテリアに興味のなかった人や、やり方がわからないし時間もなかった人も家に関する興味が高まっている。

――消費者行動の変化に合わせて、経営戦略を見直す点はありますか?

それはない。生活や暮らしをラクにできる時短商品や面白く過ごせる商品提案は、コロナとは関係なく取り組んできた。市場にないものは自分たちで作ろうとSPA(製造小売業)を進めてきた。われわれの目的に消費者が初めて気づいてくれたことで、受け取られ方が変わってきている。

カインズの塗料売り場は種類も豊富だ。写真は同社が運営するライフスタイルDIYショップ「Style Factory ららぽーと海老名店」の塗料売り場(写真:カインズ)

例えばペイント(塗料)なんて、当社はずば抜けて上昇基調にある。売り場では気分に合わせたカラー提案や組み合わせの相性など、カインズのカラーとして売っている。そんなマニアックな商品は、自分でペイントすることにならなければ手に取らないが、以前からの仕込みが今になって評価されている。同業他社もDIY関連や壁紙は売れているが、ペイントはカインズがずば抜けていると業者さんに聞いて驚いた。

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