カインズが今、「M&A」に積極姿勢になった理由 ライバルに加えIT系を買収する可能性も

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つちや・ひろまさ/1966年生まれ。群馬県出身。1990年早稲田大学商学部卒業後、野村証券入社。1996年にいせや(現ベイシア)入社、1998年カインズ入社、同年に取締役、2002年に代表取締役社長、2019年に代表取締役会長に就任。ベイシアグループ創業者の土屋嘉雄会長の長男で、ワークマンの土屋哲雄専務とは従兄弟(撮影:風間仁一郎)

――今の状況は、追い風なのでしょうか。

ホームセンターのニーズは高まったが、追い風とは言いたくない。3月ごろは先が見えなかった。東京都が緊急事態宣言下で事業者への休業要請を検討していたとき、当初は休業対象にホームセンターは含まれていた。しかしそういう状況下でも、大雨や地震が起きる可能性はある。生活を支えてきたのは地域のホームセンターという自負がある。生活必需品かどうかを誰かに決められる気持ち悪さ、何の根拠で決めるのかとの思いから店を開けることに決めた。

ゼロから自前で作るのは大変

――ホームセンター業界は再編の機運が高まっています。買収には積極的ですか?

もちろんだ。

――親会社のベイシアグループは自前成長にこだわってきました。その方針を変えると?

M&Aブームは10年に1回のサイクルで起こり、今回は3回目。前々回かな、私も若かったから「自分で成長するから興味ない」くらいのことを関係者に言ってしまった。一切情報が入ってこなくなり、心を入れ替えて興味があると言うようになった。まだ実現していないが、お話はもらえている。同業他社を買収する可能性はゼロでないし、IT系といった異業種もありうる。

コロナ後の「新常態」とどのように向き合っていくべきなのか。「週刊東洋経済プラス」では、経営者やスペシャリストのインタビューを連載中です。(画像をクリックすると一覧ページにジャンプします)

――グループ全体でも同じ方針で、交流は活発なのでしょうか?

これまではM&Aを必要としていなかったからもしれない。でもいろいろな技術に特化した会社があるのだから、いくらオーガニックに成長するからといってゼロから自前で作るのは大変。志が合う会社があればもちろんありうる。

グループ間でも社長同士のコミュニケーションがある。今までグループをドライブする役割がいなくて、それぞれ勝手に経営してきた。別に構わないが、こっちで成功していることを取り入れたらいいのに、知らないからやらないのはもったいない。そこは私がハブとなって情報交換をしようと、大きな構想を持ってやろうとしている。

「週刊東洋経済プラス」のインタビュー拡大版では「コロナ離職者3000人の採用の裏側」「カインズが進めているIT化」などについても詳しく語っている。
前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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