「強い香りに敏感な人」が持つ意外な病気の正体 化学物質に反応、仕事続けられなくなる場合も

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「化学物質過敏症を患う人の多くが、家族や友人、会社から理解が得られず、孤立しています。勉強会は患者同士の集まりなので、同じような環境にいる人ばかり。患者さんは悩んでいるのは自分だけじゃないことがわかって、勇気をもらえるようです」(吹角医師)

一般的には、化学物質過敏症には治療法がなく、治らないと言われる。だが、こうした治療で多くの患者が日常生活を支障なく送れるまで回復しているという。

香りを付けることが洗濯ではない

話を香害に戻す。

香りの害は学校などでも問題になっている。このことから、杉浦さんのいる消費者連盟では、いくつかの団体と共同で、香害を生み出す香り付き製品の規制を、自治体や消費者庁、厚生労働省などに求めてきた。

自治体の中には求めに共感し、香り付き製品の使用の自粛を促すポスターを貼るなどの対応を行うところもでてきている。だが、病院や交通機関など、公共の場での自粛がいまだ進んでいないという。日本石鹸洗剤工業会や生活用品メーカーも、ウエブサイトで使用量の目安を守るよう働きかけたり、使用している成分を表示したりしているが、製造を止めるというところまでは至っていない。

「アメリカのCDC(疾病対策センター)では、被雇用者に対して仕事場に来るときはできる限り香り付き製品を使用しないことを奨励しています。日本もそれを見習ってほしい」(杉浦さん)

冒頭の橋本さんが今、とくに問題視しているのは、マイクロカプセルというミクロのプラスチック粒子だ。香りや消臭成分を包み込んでおり、摩擦や湿度によって中身が飛び出す。それにより香りや消臭効果が持続する。見方を変えると、それが橋本さんたちを苦しませている。

「マイクロカプセルは人から人、人からモノに付着して移動し、においを放ち続けます。極端な話、下水からも漂ってきます。多くの人は、洗濯機に合成洗剤や柔軟剤を入れることが洗濯だと思っていますが、本来は、汚れを落とすのが目的です。衣類にマイクロカプセルや化学物質を付けることが洗濯ではないということを、一度、考えてみてほしい」(橋本さん)

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