テラハ・木村花さん事件はこうすれば防げた 必要な周囲の配慮、書き込み防止の工夫も

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――SNS上で事件が急増している原因は何でしょうか。

2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)に代表されるように、もともとネットでの書き込みは匿名が原則だった。ところが、フェイスブックやインスタグラム、ツイッターが広がり、実名で情報発信する人が増えたことで新たなステージに移ったと考えている。

コロナ後の「新常態」とどのように向き合っていくべきなのか。「週刊東洋経済プラス」では、経営者やスペシャリストのインタビューを連載中です。(画像をクリックすると一覧ページにジャンプします)

こうした実名メディアが誕生した当初、これは定着しないと私は見ていた。ところが、タレントやスポーツ選手などが実名でアカウントを持つことが一般化した。情報発信する本人は実名だが、それに対して匿名で書き込みができるという非対称の歪みが事件を増やす背景になっている。

テラスハウス事件をどう防ぐか

――テラスハウスの事件はどうしたら防げたのでしょうか。

木村さん本人は、突然の誹謗中傷に驚いたと思う。実は、それはある程度、予想できたもので、周囲の人が事前にきちんと対応していれば予防できた可能性がある。

たかたに・やすひさ/1968年生まれ。1993年ジョンソン・エンド・ジョンソン入社、1995年京セラ入社。2005年イー・ガーディアン入社。2006年4月に同社代表取締役社長兼CEO(撮影:今井康一)

テレビの影響力は大きい。テラスハウスのように、いい役と悪い役を演じさせるという作りになっていれば、悪役に誹謗中傷の書き込みが来ることは予想できたはずだ。前もって「ひどい書き込みがあるかもしれないけど気にしないでね」と周囲から本人に声をかけておくべきだった。

テラスハウスのSNSは、普通に匿名で書き込みができる作りになっていたが、書き込みを受け付けないSNSにしておくという方法もあった。

SNS運営者の中には、ある程度、SNSが炎上したほうが宣伝になると考える人がいるのかもしれない。そのあたりのさじ加減は難しい。だが、若い人ほど、誹謗中傷を受けて傷つき、自らの命を絶ってしまうといった取り返しのつかない事態を招くことがある。

実名で情報発信をする以上、自分のファンも、自分のファンでない人も書き込みをしてくることがあり、いわれのない誹謗中傷を受ける可能性があることを前もって理解し、心の備えをしておくことがとても重要だ。それと同時に、書き込みを受け付けない、あるいは書き込みを監視するといった予防措置をとることが求められる。

――ビジネスパーソンはこうしたネット上の事件をどう受け止めたらよいでしょうか。

ビジネスパーソンにとっても、ネット上で起きている事件は他人事ではない。とくに新規上場をした会社の社長は、自分に対するネット上の誹謗中傷に対して気持ちの備えをしておいたほうがいい。掲示板などで企業経営者が罵詈雑言を浴びせられることが増えている。

「週刊東洋経済プラス」のインタビュー拡大版では、「ネット社会とどう付き合っていくべきか」「日本のネットセキュリティの課題」「中期的なネット社会の注目点」についても語っている。
広瀬 泰之 東洋経済 記者

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ひろせ やすゆき / Yasuyuki Hirose

経営コンサル、書店などの業界を担当。『会社四季報』編集長を経て、現職は同・編集部長

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