タリーズ創業者が語る「デリバリー」の難しさ 松田公太氏が語る外食業界の現状と未来

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――店内飲食が激減した一方、テイクアウトやデリバリーに注力する飲食店が増えました。

テイクアウトやデリバリーを行うのは、少しでもキャッシュを得て、少しでも「出血」を食い止めるため。でもみんな、「これでは利益が出ないな」と気づいている。特にデリバリーはいくらやっても飲食店が儲からない。一例を挙げると、ウーバーイーツでは売上高の38%を手数料として取られてしまう。

まつだ・こうた/1968年生まれ。筑波大学卒業後、三和銀行(現三菱UFJ銀行)を経て1997年にタリーズコーヒー日本1号店を開店。2010年、Eggs 'n Things日本1号店を開店。2010~2016年参議院議員。飲食チェーンの運営やシステム開発のため、2019年に新会社クージュー設立。2020年4月よりEGGS 'N THINGS JAPAN代表取締役(撮影:尾形文繁)

飲食デリバリーの中で、ウーバーイーツや出前館の競合が生まれることを期待している。タクシー事業者などさまざまな企業が参入し始めたので、環境は少しずつ変わってくる。チェンジメーカーが出てきてほしい。38%ある今の手数料が25%や20%にまで下がってくれば、飲食店側にも利益が出る。

私も安価なデリバリーを可能にしようと1年前から参入準備をしていた。ITなどを用いて次の成長ステージを作ろうと設立した「クージュー」という会社で、デリバリーも検討していた。ただ、ウーバーイーツの独り勝ちでブルーオーシャン(競合の少ない有望市場)だったデリバリー市場は、参入企業が増えてきている。そこで私自身は参入を見送っている。

郊外型、地方型の飲食が見直される

――外食業界の収益モデルも変化するのでしょうか。

コロナ後の「新常態」とどのように向き合っていくべきなのか。「週刊東洋経済プラス」では、経営者やスペシャリストのインタビューを連載中です。(画像をクリックすると一覧ページにジャンプします)

変化は間違いなく起こる。リモートワークが当たり前になって「意外といいもんだ」と思われており、今後も週2日程度続ける会社が多いだろう。リモートワークだと自宅でご飯を作るかデリバリーを呼ぶかという選択になり、これまでオフィス街で確保できていた売り上げが見込めなくなる。

逆に言うと、郊外型、地方型の飲食が少し見直される。今までは売り上げの見込める駅前、大都市といった立地を皆が狙っていた。でもリモートワークをする人が2割増えたら、その2割分を狙った郊外型の店舗がこれから生まれてくる。

郊外立地には、来店客用のスペースがなく配達専門に特化した「ゴーストレストラン」が増えていく。賃料や内装費を抑えるなど設備投資にお金をかけないので、ウーバーイーツの手数料が38%でも利益を出せる。

「週刊東洋経済プラス」のインタビュー拡大版では「賃料支払いの猶予を求める家賃モラトリアム法案」「外食業界の人は怖くて誰も言えないこと」「外食業界とIT企業との関係」なども詳しく語っている。
遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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