売り上げが5割落ちると大赤字
──5月末の緊急事態宣言解除後、外食業界の客足はどれくらい回復していますか。
ものすごく厳しい。今後も数カ月間は、売り上げが前年比で5、6割にとどまり続けると見ている。そもそも外出する人自体が昨年の8割までしか戻らない。外出しても外食することに不安を感じる人もいる。そのため外食する人は、よくても前年の6、7割の水準にとどまる。
店舗側もコロナ対策で席数を2、3割減らしている。外食する人の減少と合わせると、飲食店の売上高は前年比で5、6割くらいになる。実際うちはその通りになっている。売り上げが前年比で2、3割の水準にとどまっている会社もある。そこは居酒屋で、顧客がクラスターの発生リスクを心配しているようだ。
飲食業は損益分岐点比率が高い。売り上げが1割落ちると赤字になって、5割減ると大赤字だ。緊急事態宣言が解けて「再スタートだ」とみんな喜んだが、店舗を再開した今、飲食店は現実がわかってしまった。営業を続けていくべきか悩む人がだんだん増えている。
私が6月に新宿でオープンしたチョップドサラダの店舗は、出店交渉したときの商圏人口を前提に賃料を決めた。だが、当初想定した売り上げの半分にしかいかず赤字だ。
──店内飲食が激減した一方、テイクアウトやデリバリーに注力する飲食店が増えました。
テイクアウトやデリバリーを行うのは、少しでもキャッシュを得て、少しでも「出血」を食い止めるため。でもみんな、「これでは利益が出ないな」と気づいている。特にデリバリーはいくらやっても飲食店が儲からない。一例を挙げると、ウーバーイーツでは売上高の38%を手数料として取られてしまう。
飲食デリバリーの中で、ウーバーイーツや出前館の競合が生まれることを期待している。タクシー事業者などさまざまな企業が参入し始めたので、環境は少しずつ変わってくる。チェンジメーカーが出てきてほしい。38%ある今の手数料が25%や20%にまで下がってくれば、飲食店側にも利益が出る。
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