文系人間が日常でやらかす「惜しい」言い間違い 簡単な数学的思考で日々がぐっとラクになる
でも、数学で「ベクトルが違う」という場合、違うのは「方向」だけではありません。もちろん方向が違えばベクトルは違うのですが、ベクトルはもう1つ重要な意味を持っています。それは、大きさ。ベクトルとは、「方向」と「大きさ」の両方を持つ量なのです。
したがって、方向が同じでも大きさが違えば、ベクトルは違います。
理系の人にうっかり「それはベクトルが違う」と指摘すると、「違うのは方向ですか、大きさですか、それとも両方ですか?」と聞き返されてしまうかもしれません。方向性の話だけをしているのなら、そのまま「方向性」といったほうが無難です。
「または」と「かつ」の使い方を間違えて思わぬミス!
私が以前から気になっているのは、「または」と「かつ」の使い方が曖昧になっている人がよくいることです。
例えば、「18歳未満または高校生」と「18歳未満かつ高校生」という2つの条件を見たとき、どちらのほうが当てはまる人が多いか、すぐにわかるでしょうか?
そんなに難しい話ではないはずですが、咄嗟には答えられず、ちょっと考えないとわからない人が多いと思います。
英語で言うと、「または」は「or」、「かつ」は「and」。
しかし、これを勘違いすると、仕事で人と会うときの日程調整などでも思わぬミスが生じかねません。
「午後2時以降または土日」と「午後2時以降かつ土日」では、候補となる選択肢の数がまったく違います。後者をうっかり前者の意味で受け止めてしまうと、「では木曜日の午後3時からお願いします」というトンチンカンな返事をして相手を困らせ、メールのやり取りが二度手間になってしまったりするのです。
本稿をお読みいただいている方の中には、いま「自分がそんな勘違いをするわけがない」と思われた方も多いでしょう。しかし法律の条文や契約書などはどうでしょう。「または」「かつ」のほかに、「もしくは」「および」「並びに」などもよく見るでしょう。
こうした言葉の論理構成を読み取る能力がなければ、複雑な条件設定を勘違いして大失敗をしかねません。それを防ぐには、数学的思考が必要です。
私は法学部を卒業したのですが、法律の思考に数学的思考が生きているのを日々実感していました。とりあえず、数学のように図化するだけでも、論点がクリアになります。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら