文系人間が日常でやらかす「惜しい」言い間違い 簡単な数学的思考で日々がぐっとラクになる
「または」と「かつ」などの使い方を鍛えるのに役立つ数学の道具とは何か。それは「集合」です。
ある特定の条件に合うものをひとまとめにして考えるのが、数学でいう「集合」です。それを視覚的に表現するのが、ベン図。イギリスの数学者ジョン・ベンが考案したので、この名で呼ばれるようになりました。
では、「AまたはB」と「AかつB」がそれぞれベン図でどう表現されるかを見てみましょう。
含まれる範囲の大きさの違いは、一目瞭然です。「AまたはB」はどちらかの条件を備えていればOKなので広く、「AかつB」はどちらの条件も兼ね備えていなければいけないので狭い。
「または」と「かつ」を見聞きしたら、このベン図を思い浮かべるだけで絶対に間違えることはないでしょう。「または」と書かれていれば条件設定がゆるい、「かつ」は条件が限定されているので厳しい、と思えばいいのです。
無駄な議論やイチャモンは、ベン図ですっきり
ときどき、テレビの討論番組やネット上の議論を見ていると、「ベン図を書いたらいいのに!」と言いたくなってしまうことがありませんか。
それぞれの主張に、「AならばBだ」といった条件つきの命題がさまざまな形で複雑に絡まっています。それが整理されていないせいで誤解が生まれ、見当違いな異論や反論で無駄に時間が過ぎていくことがよくあるのです。
それを避けるためにお勧めしたいのは、討論の場にはできるだけホワイトボードを用意すること。
そこにベン図を書きながら話し合えば、時間と労力をかなり節約できるはずですし、討論そのものも実りのあるものになるでしょう。
「AならばB」という命題をベン図で表すのは簡単です。例えば「人間ならばみんな動物だ」というなら、「動物」の集合Aの中に「人間」という部分集合Bを書くだけ。これを見れば、「たしかに動物ではない人間はいないし、だからといって、動物は人間だけではない」ことが一発でわかります。
このベン図を見ながら、「あなたは動物がみんな人間だというのか!」とか「私をブタやヘビやカエルと一緒にするなんて失礼じゃないか!」などと食ってかかる人はいません。万が一いたとしても、相手にする必要のないイチャモンだと誰にでもわかります。
逆に言えば、ベン図を使わずに言葉だけでやっている議論では、こんなバカげたやり取りが珍しくないということ。こんなレベルの勘違いを正すだけで大変な苦労をしている人がよくいます。
ベン図があれば、それを指さしながら「いやいや、あなたはこの部分の話にこだわっていますが、私はこちらの話をしているんですよ」と言えば簡単に納得させられる話を、何時間もかけて延々と続けるのですから、時間の無駄としか言いようがありません。
いかがでしたか。このように、数式を解かなくても、数学的思考を知っているだけで、頭の中はすっきり。数学用語を正しく使ったり、日常に生かせる数学的思考を身に付けて、ぜひ思考の省エネをすすめたいものです。
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