和歌山の「オンライン宿泊」がウケている理由 1泊1000円「予約がとれない宿」になっている

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別々の人がアップした写真すべてを1画面で共有できるアプリ「Livecanvas」を使ったおもてなし。リアルのコミュニケーションでは、大勢で写真を閲覧する機会は少ない。オンライン宿泊だからこそ、このような楽しみ方も可能になる(筆者撮影)

ミーティングアプリのZoomを利用しログインすると、まずはその日の宿泊者同士の顔合わせだ。ビデオをオンにしておき、互いに顔を画面で見ながら、軽くあいさつを交わす。後呂氏の案内で、宿泊スペースを見学。このあたりは想定範囲内である。

オンライン宿泊のメインイベントである、宿泊者同士の交流も、簡単に言えばオンライン飲み会だ。しかしサービスの特色は、オンラインならではの、さまざまなアプリを駆使した説明や司会進行、イベントなどにある。

まず画面にグーグルマップを表示し、ホテルがある場所をポイント。周辺の写真を提示しながら、熊野周辺の観光案内が行われる。またそれぞれの参加者が今いる場所もポイントされ、参加者が自ら、住む地域の観光案内をほかのメンバーに対して行う時間も設けられている。

参加者の交流タイムにおいても、「オンライン飲み会」で起こりがちな、会話のテンポが悪い、間が持たない、特定の1人だけがしゃべる、といった事態が起こらないよう工夫されている。

本来はコミュニケーションが難しいが…

オーナーの指示に従い、参加者はあらかじめ、自分のプロフィールをテキスト化したものと、交流ツールとしての写真を1、2枚、選んでおく。画面上に表示し、一人ひとりの「人となり」を視覚情報として印象づけるためだ。

こうした視覚情報の多様さが、本サービスを特徴づける1番のポイントと言える。また年齢も背景もバラバラな初対面同士、しかも画面を通じてのため、本来はコミュニケーションが難しい。そこは、後呂氏の流れるような司会進行が橋渡しする。

参加者メンバーの性格もものを言う。オンライン会議などでもそうだが、メンバーが表情だけでなく「声」で反応することで、会話が盛り上がる。集まる人によって、場の雰囲気はずいぶん違ってきそうだ。

「オンライン宿泊の時間を2時間に制限し、人数も絞っています。『話し足りない』というぐらいがちょうどよい。あとは将来、リアルに訪問してもらったり、参加者同士がつながってもらえたらと」(後呂氏)

筆者が参加した当日は、マラソンが趣味の人、「オンライン○○」を片端から試している人、自身もゲストハウスのオーナーである人など、筆者のほか6人が参加。性別、年齢もバラバラであった。

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