コロナの「空気感染説」がやはり拭えない理由 239人の科学者がWHOに軌道修正を要請

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物体を介して感染が広がる可能性について、WHOのアレグランジ氏は「コロナでは接触感染が直接的に証明されていないことは認める」としつつも、こう語った。

「ただ、他のコロナウイルスや呼吸器ウイルスは、ウイルスが付着した物の表面を触ることで感染する。これは証明済みのことであり、よく知られている」

WHOが真実を語れない理由

WHOは加盟国すべてのニーズも考慮しなければならず、そこには資源が限られている国も含まれる。そのためWHOの推奨事項は「入手可能性、実行可能性、コンプライアンス、資源の事情」を確実に加味したものでなければならない、とアレグランジ氏は話した。

イギリスのイーストアングリア大学の医学教授で、WHOの感染予防委員会にも名を連ねているポール・ハンター氏によれば、エアロゾルは限定的ながらもコロナの感染経路となっている可能性がある。

しかし確証がないままWHOが厳しい感染防止策を推奨すれば、ただでさえ体制の貧弱な低中所得国の病院は、コロナ対策に資源を振り向けるために、極めて重要度の高い他の医療課題を犠牲にしなければならなくなる。

「WHOのような機関は、こうしたバランスをとらなければならない立場にある」とハンター氏は説明する。「それによって生じる犠牲を無視して『予防原則に従わなければならない』と言うのは、簡単だが極めて軽率だ」。

取材に応じた別の科学者らは、このような考え方は「上から目線」に過ぎると批判した。「『言ったってどうせできないのだから、本当に思っていることは言わない』とでも言うつもりなのだろうか。そうするのが正しいとは思えない」と、メリーランド大学のエアロゾル専門家、ドン・ミルトン氏は語った。

布製マスクであっても、全員が着用すれば感染を大きく抑えられる可能性がある、WHOははっきりとそう言うべきだ――。ミルトン氏はこう付け加えた。

(執筆:Apoorva Mandavilli記者)
(C)2020 The New York Times News Services

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