会社組織をダメにする「中途半端なテレワーク」 現場任せの対応が「出社の同調圧力」生み出す
さて、このように全体としてのテレワークは減少傾向だが、職種別に見ると、さらに興味深い傾向が見えてきている。定着する職種とテレワークをやめていく職種の二分化が進んでいることが見えてきた。
コンサルタント、経営企画、商品開発・研究などは4月と比べてもテレワーク実施率が10ポイント以上上昇し、それぞれ74.8%、64.3%、56.5%となっている。自粛ムードのピークであった4月からさらにテレワーク実施率が上がるというのは想定外だった。
その一方で、販売職(5.4%)、理美容師(2.6%)、配送・倉庫管理・物流(6.3%)、医療系専門職(3.6%)は、4月から実施率が半減してしまっている。業務の性質によって、テレワークが定着していっている職種と、縮小していっている職種に分かれ始めている傾向が見られる。
まだらテレワークのリスクを軽視するな
こうした全体としての減少傾向と、二極化傾向を踏まえると、現在、そして今後の日本企業の職場は中途半端な「まだらテレワーク」の状態にあるといえる。つまり、メンバーが「一斉在宅」で勤務していた組織が多かった4月、5月を過ぎ、一部在宅・一部出社というまだらな状態の組織が大勢を占めるようになる。
これは2カ月間で終わりを迎えた一斉在宅期よりも長期化するだろう。オールド・ノーマルは徐々に復活してはいくものの、新型コロナウイルス感染拡大の継続的リスクは続くからだ。
まだらテレワークは、一斉在宅とはまた異なる課題を組織に突きつける。みなが自宅から参加するZoom会議と、一部従業員が会議室で一部は在宅のZoom会議では、2つのグループの情報量の格差やコミュニケーションのしやすさの格差は非常に大きなものになる。
こうした「まだらテレワーク」状態にあるときの従業員の意識をデータで確認していこう。
まず、テレワーク業務時に不安に感じることについて、一斉在宅が多かった4月時点と、緊急事態宣言が解除されて「まだらテレワーク」が増えたであろう5月末を比較すると、「上司からの公平・公正な評価への不安」「成長できる仕事が割り振られるか不安」「昇進や昇格への影響への不安」など、全体的に社内での自身の評価・キャリアへの不安が高まっている傾向が見られた。
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