新規感染の大多数と指さされる「若者」の言い分 コロナ「新たな段階」に突入したアメリカ
新型コロナウイルスの感染者が急増しているアメリカの州や都市では、若い人々が感染する割合が高まっている。公衆衛生当局はこうした傾向に警戒感を強めており、マスクを着用し、社会的距離を取るよう改めて注意を促している。
ドライブスルー検査場が検査を求める人々でごった返すアリゾナ州では、新規感染者の半分近くが20〜44歳だ。新規感染者数が連日のように過去最高を更新し続けているフロリダ州では、検査で陽性となる住民の年齢の中央値が3月の65歳から35歳へと大幅に低下した。
病院の混雑が深刻化し、知事が6月25日に経済活動再開のプロセスを一時停止したテキサス州では、新規感染者の大半が若者という都市もある。ブラウンズビルや観光地のサウス・パドリー・アイランドのあるキャメロン郡では、新規感染者の半分以上が40歳未満だ。
「若い人の割合が劇的に変化したのは、はっきりしている」と、テキサス大学公衆衛生大学院で疫学を教えるジョセフ・マコーミック教授は語る。「実に憂慮すべき事態だ」。
無症状の若者がウイルスを拡散
市長、州知事、保健当局の担当者は若者の感染拡大に神経をとがらせている。知事らは学校や大学、スポーツイベントを再開するなどして生活を正常化し、経済を完全復活させようと必死だ。だが若い人々の間で感染が広まれば、そうした計画の実行は一段と難しくなる。秋にかけての見通しは厳しさを増している。
若い人々の間で感染が増加した原因は単純なものかもしれない。バーやレストラン、オフィスが多くの州で再開され、若者を含む地域全体にウイルスが広まったということだ。一方で専門家は、20〜30代は外出して人と交わる傾向が強いとも指摘する。アメリカの南部と西部で感染が急増して危険な状況となっているにもかかわらず、無症状の若者が重症化リスクの高い人々に感染を広げている懸念がある、というのである。
アメリカ疾病対策センター(CDC)のロバート・レッドフィールド所長は25日、感染拡大の一因は若者にあるとし、以前は検査されずに放置される感染も少なくなかった、と述べた。「現時点で最も確度の高い推計に基づくと、報告された感染1件につき実際には他に10件の感染があった」。