日本人は「格差拡大」の深刻さをわかっていない コロナ禍で貧困層の雇用や教育環境が一層悪化

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では、「ウィズ・コロナ」の社会で格差拡大を止めることができるのか。

「いちばん急いでやるべきことは、生活保護の要件の簡素化と手続きのスリム化です。資産をどれだけ持っているかのチェックを一切省き、頼れる親族を探せとか、仕事を見つけろとかの条件を一切なくす。ともかく、収入が激減し生活に困っているという条件だけで給付できるようにする。(社会の崩壊を防ぐ最低限の措置として)それが必要です。

非正規労働者にも休業補償がある程度なされたり、労働組合も活発に動いたりしているので、問題は今のところ、大きく表面化はしていないかもしれない。ただ、生活保護の手続き簡素化などを講じないと、失業に伴う自殺者の激増も十分に考えられる状況です」

所得再分配を機動的に行うシステムが必要

もう1つの火急の対策は「所得の再分配を機動的に行うシステム構築」だという。

「今回の特別定額給付金のようなことを一過性のものとしないで、ベーシック・インカムの制度として定着させればいい(ベーシック・インカム=最低限の生活を営むに足る額の現金を、国民全員に無条件・無期限で給付する制度)。

ベーシック・インカムを全国民に共有させるためなら、マイナンバーと銀行口座のひも付けに反対する人もごく一部でしょう。毎月給付するかどうかは別にして、必要なときに直ちに配布できる体制を整える必要があります」

「中小企業向けの持続化給付金も1人10万円の特別定額給付金も、意思決定自体は実はそこまで遅くなかった。問題は、実行できていないこと。日本の行政システムがいかに非効率だったか、完全にあらわになりました。特別定額給付金を決めたのはだいぶ前なのに、いまだに給付が完了していない。行政システムの非効率を是正しなければ、この先、雇用も社会も持続できません」

取材:当銘寿夫=フロントラインプレス(Frontline Press)

Frontline Press

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「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年5月に合同会社を設立して正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や研究者ら約40人が参加。スマートニュース社の子会社「スローニュース」による調査報道支援プログラムの第1号に選定(2019年)、東洋経済「オンラインアワード2020」の「ソーシャルインパクト賞」を受賞(2020年)。公式HP https://frontlinepress.jp

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