森永卓郎「東京五輪で景気回復は期待できない」 「パンデミックは2年続く」と専門家も警鐘

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経済アナリストの森永卓郎氏語る「アフターコロナ時代の生き方」とは?(写真:共同通信)
新型コロナウイルスが経済に与える影響は甚大だ。経済活動が制限されるばかりか、感染拡大の収束は見込めず、倒産する企業も少なくない。では、コロナが収束に向かうとき、どういった市場に需要が生まれるのだろうか。そこで、『年収200万円でもたのしく暮らせます コロナ恐慌を生き抜く経済学』(PHPビジネス新書)を上梓した森永卓郎氏が、アフターコロナに伸びる市場と沈む市場を予測する。

新型コロナウイルスの感染症拡大で、インバウンドは、ほぼゼロになりました。では、コロナ禍の収束後に元に戻るか、そして2021年7月〜8月に延期になった東京五輪を機にインバウンド需要が期待できるかというと、それも疑ってかかったほうがよいでしょう。

そもそも東京五輪までに新型コロナが収束する保証はありませんし、五輪そのものが開催できるかどうかもわかりません。

ミネソタ大学感染症研究政策センターが「パンデミックが最長2年続く可能性が高い」としましたが、そのように見ている専門家もいるわけです。

日本でコロナが収束すれば、オリンピックが開催できるというほど甘い話ではありません。世界的規模で感染者数が激減し、ワクチンも普及する。そうして社会が正常な状態に戻って初めて、「さあ、オリンピック」と言える環境が整います。再度の延長はないのですから、東京五輪開催は五分五分程度とみておいたほうがよいと思います。

五輪でさえその状況ですから、海外の人がかつてのように安心して日本に観光で来られるようになるには相当な時間が必要でしょう。そう考えるとインバウンド需要が5年先、10年先はともかく、ここ1、2年で回復するのは期待できません。

「巣ごもり消費」は一過性

新型コロナウイルス禍で注目された事象の1つに「巣ごもり消費」があります。外出自粛を要請され、自宅で過ごすために必要とされる製品・サービスの需要が増えるというものです。

米IT大手「GAFA(Google、Amazon、Facebook、Appleの4社の総称)」の2020年1~3月期の決算は、4社とも増収を果たしました。「巣ごもり消費の影響」と報じられているとおり、家にずっといることで、必然的にネットに向かう時間が増えます。ビジネスチャット、WEB会議ツールの需要も急増しました。

また、Uber Eatsなどの食事の宅配、ゲーム機、たまたま時期が一致したのかもしれませんが、任天堂のゲームソフト『あつまれ どうぶつの森』も大ヒットしました。

ただし、こうしたコンテンツやツールが、今後も持続的な需要を見込めるとは言い切れません。

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