「三日坊主になる人」はやり方が少しズレている 習慣化を妨げる"3つの強敵"とはこう戦う

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例えば、勉強ならばその日の勉強する量を無理のない範囲にしておき、時間がきたら途中でも止める。次の試験で大幅に成績を上げようとしない。好きなところから学んでいく、などです。

強敵に勝利し、一度習慣化させてしまえば、それは自動システムが自分の中に導入されたようなものです。お風呂に入ることや歯を磨くことと同じように、日常の中に取り込むことができるはず。

頑張らないでやってみてください!

日常の中で「考える練習」をする

「考える」ことが苦手という人は、「考える」を習慣化させていくことをお勧めします。そのために上記の3つの敵を攻略することも大切ですし、もうひとつ、「考える練習」も大切です。

優秀なスポーツ選手は練習量がすごいといいます。スポーツの世界と同じように、「考える技術」を身につけるためには、考える練習をするのが一番です。考える練習を僕は「シコ練(思考の練習)」と呼んでいます。

僕の「シコ練」はこんな感じです。家の近所のドラッグストアのテーマソングを勝手に作詞作曲したり、大好きな銭湯の価値を高めることを考えたり、電車の中にある中吊り広告につっこみを入れてより伝わるコピーを勝手に考えたり、レストランのメニューを見て新しいメニュー名を考えたり、毎日、あちこちで「シコ練」をしています。

もちろん、誰かに頼まれたわけではなく、自分で勝手にやっているのですが、これが楽しいんです。自分で勝手につくったドラッグストアのテーマソングは密かな自信作で、その店で流れているその店のオリジナルソングよりもいい曲になっていると思っています。

「シコ練」をするときに心がけたいのが、具体的な解答までもっていくこと。

例えば、テレビCMを見ていて「このCM、なんか響いてこないな」と思ったら、どこをどう修正したら響いてくるのか、そこまで具体的に考えるわけです。なんとなくで終わらせないのがポイントです。

そして、考えたことをノートに書き込み、貯蓄します。「思考貯金」です。

「シコ錬」の種は日常の中にいろいろ転がっていますが、大切なのは楽しくやることです。僕がとくにお勧めしたいのはレストランでの「シコ練」です。店員さんのサービスはどうか、メニューはどうか、お店の内装や外装はどうか、料理はどうか。考える種はたくさんあります。

『パン屋ではおにぎりを売れ 想像以上の答えが見つかる思考法』(かんき出版)。書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

スーパーマーケットも格好の練習場所です。この商品のネーミングは魅力的だとか、これだと買いたくならないなとか、この陳列の方法はすごくいいとか。

この練習が、いろいろな場面で役に立ちます。なぜなら、シコ練から得たことと、仕事の課題には共通点がたくさんあるからです。

営業の仕事をしている人でも、研究職の人でも、サービス業の人でも、探してみると自分の仕事との関連性が見つかるはずです。いまなにが世の中にうけているのか、いいコミュニケーションと悪いコミュニケーションの違いはなにかなど、日頃から練習しておいたことが、なにかにつながると思います。

いつでも、どこでもできるので、ちょっとした隙間時間、スマホをいじるのを止めて、「シコ練」をぜひやってみてください。けっこう楽しいですよ。

柿内 尚文 編集者

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かきうち たかふみ / Takafumi Kakiuchi

1968年生まれ。東京都出身。慶應義塾大学文学部卒業。読売広告社を経て出版業界に転職。現在、株式会社アスコム取締役。長年、雑誌と書籍の編集に携わり、これまで企画した本の累計発行部数は1000万部以上、10万部を超えるベストセラーは50冊以上に及ぶ。特に実用書のジャンルで数々のヒットを生み出している。現在は本の編集だけでなく、編集という手法を活用した企業のマーケティングや事業構築、商品開発のサポート、セミナーや講演など多岐にわたり活動。著書に『パン屋ではおにぎりを売れ』『バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則』(かんき出版)がある。

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