売れない時代に「売りまくる人」の決定的な習慣

ベストセラー本編集者はこうやって発想する

書店のPOSデータ(売り上げデータ)を見ると、40代女性の購入者が増えているデータがありました。最初はなぜ40代女性が買っているのかわからなかったのですが、はがきが続々と届くようになって気づきました。小学生、中学生の母親が買っていたことに。

そこで、「ビジネスパーソン向けの自己啓発書」から「子ども向けの読書感想文にも使える本」に、この本のポジションをずらしました。書店でも「ビジネス自己啓発書」のコーナーから「児童書」のコーナーに置く場所を変えてもらえるよう、営業チームがお願いしてまわりました。

すると、子どもたちに本が届くようになり、40万部を超えるベストセラーになったのです。価値をずらしてヒットしたわけです。

「ずらす法」は、価値の再発見を生み出す方法です。当たり前になってしまったことも、一度「ずらす法」で見直すと、新しい価値が生まれる可能性があります。

いま大人気の作業服のワークマンも、この「ずらす法」で新しいお客さんをつかんだのだと思います。作業服のブランドから、作業服だけでなくアウトドアの分野にも「ずらした」わけです。

ほかにも「ずらす」ことで、魅力が高まったケースは多々あります。

若者向けに開発したトレーニング器具がシニア向けの筋トレ器具として大ヒットしたり、ICレコーダーが物忘れ防止用メモとして売れたり。ガチャガチャを空港にズラッと並べたことで、外国人向けのお土産として人気になった話や、出汁の自動販売機を設置して年間で数十万本の販売数になっている話なども、まさに「ずらす法」が成功した事例でしょう。

「アタマ」よりも「目と耳」を使う

では具体的に「ずらす」ときのポイントを紹介します。

「ずらす法」では、まず思い込みを捨てることが大切です。これまでの経験値などを一度捨て、ターゲットも限定せず、ずらせる場所や人を探します。そのときに必要なのは、例えば商品やサービスであればユーザーの声をよく聞き、よく観察することです。『「のび太」という生きかた』をずらせたのは、読者からの声によってでした。

自分の頭だけで考えられることには限界があります。声をよく聞き、よく観察することで気づきが生まれます。

営業の人なら営業先をずらしてみる、人事部の人なら研修内容をずらしてみる、といった形です。

新しいものをつくるだけがイノベーションではありません。「価値の再定義」でイノベーションを起こすこともできるのです。

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