水商売は、恥ずべき職業か? 家庭環境の逆境をバネに、優しく育つ

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新しいものを得るには、諦めねばならないものも

スナックのママをしていた私の友人の言葉を思い出します。「太陽が沈んでから化粧をして洋服を着替えて、一人っ子を家に残して出かけるのは、本当につらかったよ。それに未経験の昼夜逆転の世界に慣れるのに必死で、それまでの友人・親戚づきあいまで体が持たず、諦めねばならなかった。何かを得るには何かを捨てねばならないということをその時、悟ったよ。それに接客業ではおカネをいただいている以上、無理難題、わがままにもご無理ごもっともと合わせねばならず、本当に大変だった」。

「早く太陽に合わせた生活に戻りたい」と言っていた彼女は、「客商売のストレスに、病弱な身が負けた」と言い残し病に倒れ、帰らぬ人となりました。

誰もが太陽が沈むと共に家路につける職業を選べるわけではありませんし、そのような職業だけが立派だとは思いません。

逆境をバネに前向きに生きた人たち

私の知人真希ちゃん(仮名)は、幼稚園から中学生までに、父親が2回も変わりました。一間か二間のアパートで3人の父親と同居し、両親をずっと恨んで暮らしました。

真希ママは「母親としてよりはずっと女性として生きたから、娘には悪いことをした」と謝りますが、真希ちゃんは「女性としての年齢が過ぎてからは、私が頼りみたいよ」とカラリとしています。

真希ちゃんは本をたくさん読みました。寂しい少女時代を連想するのは難しいほど会っていて楽しく、心ある大人になりました。こういう人に共通するのは、自分の体験からか誰に対しても気配りがあり、特に弱者にとても優しいです。とてもいい家庭を築いている人も独身者も、不幸だった経験をただでは終わらせないバイタリティーがあり、今では周囲に愛情や友情、元気や勇気を与える側の存在です。

私が以前に、「愛情を受けて育った人はその自信の好循環で、人間関係も上手くいく場合が多い」と申し上げましたが、何事も書かれたことがすべてではありません。一見恵まれない家庭環境で育っても、それだからこそ弱者に優しく、心豊かに育つ人も大勢いらっしゃいます。

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