アフリカで学んだ、超・飛び込み営業術
優良案件を探す銀行員――はたから見れば産業スパイ?

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世の中をよくするための国際機関なんだから、難しい案件でも、経済開発のために無理してでもやれよ、という声も聞こえてきそうです。しかし、僕たちも投資家からおカネを借りてきて貸出業務をしているという意味では、普通の金融機関と変わりません。リスクの高い案件ばかりやっておカネが返ってこなければ、経営が成り立たず困ってしまうわけです。

また、もっと正直なところ、おカネが返ってこない案件をやってしまうと、投資担当者としての僕の能力が疑問視され、クビになってしまうかもしれません。子供の頃からあこがれだった国際機関にやっと就職できたのに、それはなんとしても避けたい……。

山のような融資依頼のファイルを見終わった後、僕は、もういい案件を待っていても仕方がない。おカネを貸してもちゃんと返ってきそうな、それなりの優良企業への投資案件を発掘するには、自分で営業をかけるしかないな、と腹をくくりました。

そこにビジネスがあれば、どんな奥地でも行きます。写真は、リベリアのゴム農園にて、地元の農家さんとヤシ酒で乾杯する筆者

インターネットに情報はない

まず、やろうとしたのは、グーグルでひたすら検索をかけて、セネガルの大企業を探すことでした。日本や欧米であれば、グーグルで大手企業のリストや、業界マップなどが見つかるでしょう。ところが、グーグル検索ではほとんど何も出てきませんでした

西アフリカをカバーする大手経済雑誌は、それなりに役に立ちました。時々、セネガル経済特集、みたいな企画が組まれていて、それを見ると、国の中のトップ50くらいの大手企業の名前は出てきます。

一方、政府のビジネス誘致機関や商工会議所も回ってみましたが、これは、全部だめでした。政府も商工会議所も、「せっかく世界銀行さんが来たのだから、普通なら融資を受けられないような企業を支援してください」ということで、難しい案件をたくさん紹介されてしまいました。

スーパーマーケットや青空市場を回って、売れている商品チェック、というのもやりました。商品のパッケージに製造企業名が書いてあるので、売れ筋の商品を作っている会社がわかります。

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