アフリカで学んだ、超・飛び込み営業術

優良案件を探す銀行員――はたから見れば産業スパイ?

「小辻君、なんでウチが君のところじゃなくて、他社に仕事をあげたと思う? 数カ月に1回、分厚い営業資料を持ってくる君のところよりも、用事がなくても頻繁にお茶を飲みに来る会社のほうに声を掛けたくなるものだよ

あのときのことは一生忘れません。

クライアントとお茶を飲みながら与太話をしたり、ランチをしたり、というのは、作業の手を休めたら、その分、分析資料の作成が遅れ、3時間の睡眠時間が2時間になってしまう、という外資系証券の若手社員として生きてきた僕にとっては、無駄以外のなにものでもありませんでした。この重役の方に、自分が今までたたき込まれてきた仕事のやり方と180度違うことを言われて、大きなショックを味わったものです。

今、アフリカで仕事をしていると、「用事がなくても、時々、お茶を飲みに行く」というこの一言を、よく思い出します。忙しいのでなかなかやり切れていないのですが、人と人のつながりをとても大切にするアフリカでは、この重役のアドバイスはものすごく生きています。

セネガルのある企業に営業をかけていたとき、その会社の社長が、お昼ご飯を食べながらディスカッションするのが好きで、2~3時間にわたるランチに何度もお付き合いしたことがあります。こんなことをしていると、ほかの仕事が進まない……と、焦りを感じましたが、ぐっと我慢して、そのランチに付き合っているうちに、この会社から投資案件をいただくことができました。

もちろん、こういった努力にもかかわらず、ふられてしまうこともあります。つい先日も、ある会社の方が訪ねてこられて、「いや、実はほかの金融機関から借りることにしたんですよ」とアッサリ言われてしまいました。とりあえず、「ウチのどこがよくなかったですか? ほかに何かさせていただけることはありますか?」とお聞きして、今後の糧にしていくわけですが、やはり、悔しいものがあります。

こういう紆余曲折があるので、実際にプロジェクトが始まり、投資が完了すると、本当に泣けるほど、うれしいわけです。ちなみにどぶ板営業をかけて実際に成約につながるのは、ざっとみて30社から50社に1社くらいです。

以上、アフリカの営業についてでした。日頃、営業の第一線でビジネスをされている方々からみれば、きわめて当たり前の話かもしれません。でも、日本でもアフリカでも、営業道には相通じるところがある、というのは僕にとっては新鮮な発見だったのです。

※本稿は、執筆者個人の意見であり、世界銀行グループの公式見解を示すものではありません。
 

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