「コロナ前後の売れ筋」を半年追って見えた現実 消費の新常態のキーワードは「おうち時間」?

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食品全体を年代別で見ると、大きく牽引しているのが30~40代。この世代の男性、女性は子どもの有無にかかわらず、大きく伸びている。

前出の渡邉氏は「推測の域を出ないが、子どものおやつとしてお菓子づくりを始めた女性だけでなく、子どもがいない女性もお菓子づくりを始めた人が多くいたのでは」と見る。

この見立てを裏付けているのが、東証マザーズ上場の菓子材料通販cottaの売上動向だ。4月は新規注文件数が前年比7倍増。5月も注文件数は過去最高、新規注文件数は同10倍だったと公表している。

アルコール需要に映る消費のキーワード

さらに顕著な動きが出たのはアルコールだ。5月4日週に20代男性が前年比184.2%、20代女性が157.7%を記録した。6月1日週でも、20代男性は133.2%、子どものいる30~40代女性は120.3%となっている。

20代男女の需要増は「オンライン飲み会」効果だろう。近年の若い世代のアルコール離れは、酒類メーカーにとって頭の痛い問題だった。新型コロナ禍によって蒸発した飲食店需要の落ち込みがあまりにも大きく、個人需要の伸びで補える範囲ではないが、長年の課題に解決の糸口が見えたのではないだろうか。

筆者のなじみの飲食店の経営者も「夜に来てくれる人は基本的に経営者。会社員は万が一にも会社の名前が出ると困るので、夜は来られないと言う常連さんが多い」と話す。

それでは、子どもがいる30~40代の女性の需要が落ちていないのはなぜか。渡邉氏は「夫が家で飲む分の代理購買も含まれているとみられ、アルコール類の購入主導権は妻が握っている可能性がある」と分析する。

テレワークを継続する会社は少なくない。自粛期間中に「おうち時間を楽しむ術」を身につけた人も多いだろう。新型コロナ後の消費のニューノーマル(新常態)のキーワードの1つは「おうち時間」なのかもしれない。

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