20代会社員が1人開発した「伊良コーラ」の正体 新商品の「瓶入りコーラ」は2万本が予約済み

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大学に入るとお酒を飲むようになるが、あまりお酒に強くない小林さんは、コーラを注文することが多かった。もともと偏頭痛持ちで、「偏頭痛にはカフェインが効く」と言われてコーラを飲んだら痛みが和らいだこともあり、コーラを飲む頻度が増え、そのうち好きになった。

小林さんは子どもの頃から釣りが好きで、夏休みなど大学が長期休暇に入ると釣り竿を持って海外を旅した。世界を巡り、ハワイのビーチやブラジルのアマゾンでも釣りをしたという。その旅路、手元にはいつもコーラがあった。

ヨーロッパでは、日本で見たこともないコーラが売られていた。カフェイン量世界一をうたうドイツのアフリ・コーラ、ハンブルク発祥のフリッツ・コーラ、世界一おいしいといわれるイギリスのキュリオスティーコーラ。南米のペルーには、コカ・コーラよりも売れているといわれるインカ・コーラもある。

世界中でコーラを飲み歩きながら、個性豊かな味を楽しんだ。その経験が今につながっているのだが、当時から「自分でコーラを作ろう」と考えていたわけではない。

偶然目にしたコーラのレシピ

小林さんは、大学を休学してフィリピンで活動している複数のNGOでインターンシップをしていた時期がある。そのときは、自然に関わるNGOや国際公務員になろうと考えていた。しかし、現地でNGOの現状を目の当たりにして、方向転換する。

「一般企業なら適切なサービスを提供しないと潰れますが、寄付や行政からの拠出金を収入源にしているNGOにはそういう作用があまり働きません。海外のNGOのなかには、惰性で作業をしていると見えてしまうようなところもありました。それなら資本主義に乗っかっているシステムのほうが健全な気がして、ビジネスに興味を持ちました」

この体験から、大学院卒業後の2015年、大手広告代理店のアサツー ディ・ケイ(ADK)に就職した。資本主義ど真ん中の業種で、「アイデアを考えて人をびっくりさせることが昔から好き」という理由で選んだ仕事だ。

広告代理店では、新入社員の頃からさまざまな仕事に携わった。カザフスタンに長期滞在したり、海外のイベントを招致したり、シャンプーのPRをしたりと目まぐるしい日々のなかで、小林さんの息抜きになっていたのが、コーラ作りだった。

きっかけは、偶然だった。社会人1年目のある日、ネットサーフィンをしていたら、怪しげな英語のサイトに気になる記事があった。そこには、1886年5月8日にジョージア州アトランタで誕生したコカ・コーラのシロップのレシピが掲載されていた。

ちなみに、コカ・コーラの歴史を少し紐解くと、開発したのは地元の薬剤師ジョン・S・ペンバートン博士で、近所の薬局に持ち込んで町の人々に試飲してもらうと好評だったため、1杯5セントで販売を始めたところ、大ヒットしたそう。

コカ・コーラのレシピは現在も門外不出の秘伝とされ、本社の特別な施設で保管されており、レシピの内容を知っている人は世界で数人しかいないといわれている。それが流出したのか真偽は定かではないが、今から134年前に博士が開発したとされるレシピは意外なことに、それほど複雑に見えなかった。

コーラ好きの小林さんは「え、これなら自分でも作れるんじゃん!」と興奮し、当時住んでいた祐天寺の家の近所のスーパーに駆け込み、材料を買いそろえた。

「レシピに載っていたのはナツメグ、コリアンダー、バニラ、シナモン、ネロリ、オレンジピール、ライムピール、レモンピール、コーラの実とコカの葉っぱでした。これらのエッセンシャルオイルを混ぜ合わせるレシピだったんですが、とりあえず載っていたスパイスを一通り買ってきて、一緒に煮込んでみました」

グツグツと煮込んで出来上がった液体を口に含んでみると、確かにコーラのような味がした。しかし、それは決して感動するようなものではなかった。それが逆に、好奇心を刺激した。

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